遅れて来た“黄金世代” 巨人ドラ2・山田龍聖を目覚めさせた「愛あるお小言」

自分の武器は何なのか…開眼のきっかけは“一転集中”の強化

 山田は高岡商高3年夏の甲子園、根尾や藤原を擁した大阪桐蔭相手に11奪三振の好投を披露し注目された。ただ卒業後にJR東日本入りすると、周りのレベルの高さに「自分の何がいいのか、何で勝負をすればいいか分からなくなった」と言う。監督の言葉通り、首脳陣からは期待のこもった叱咤が続いた。

「ストライクが入らず怒られて、ボールを置きに行って怒られて……。レベルの低い話ですけど、何とか都市対抗で投げたいという目標へ向かって、1日1日向かっていった感じですね」

 過去2年間は本当に「0点でしたね……」と言うほど、何の結果も残せなかった。全国大会での登板さえ遠くにかすんでいた。変身のカギは、自分の武器を考え抜くことにあった。昨冬、とにかく直球を磨こうと決めた。変化球をストライクゾーンぎりぎりのところに投げることを目指しても、なかなか上手く行かない。それなら、高校時代すでに148キロを記録した、最大の武器を磨こうと決めた。

 体の使い方を考え抜いた。毎日タオルを「持たない」シャドーピッチングで、体重移動を追求した。胸の筋肉を大きく使おうと、ブリッジを繰り返した。春になると、最速は150キロに達し、空振りを奪える球質になっていた。あれよあれよという間にチームの主戦投手に上り詰め、夢だったプロ野球の指名を受けた。そしてアマチュア最後の冬、ついに東京ドームの先発マウンドに立つことができた。

 今年の都市対抗は2年ぶりに応援合戦が復活。JR東日本側のスタンドは緑に染まり、山田が三振を奪って吠えるごとにざわついた。「こういう試合は甲子園以来だったので……緊張もドキドキもありました」という大舞台で見せた堂々たる投球は、アマチュアからの“卒業証書”だ。「固くて、投げやすかったです」という東京ドームのマウンドで、今度はYGマークの帽子をかぶって吠えまくる。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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