金の卵こそ「自己満足」注意 中日アカデミーから初のプロ生んだ“成長促進法”とは

元中日・水谷啓昭氏【写真:小西亮】
元中日・水谷啓昭氏【写真:小西亮】

意図を理解した上で練習「上手くいくと達成感も大きい」

 2年にわたる指導で、もうひとつ大切にしたのが“言葉のキャッチボール”。「何かをさせるときは『なぜこれをやるのか』と子どもに必ず聞きます。間違ってもいいから、答えなさいと」。正解か否かが問題ではなく、最終的に練習の意図を咀嚼できるかが重要。「本人が理解した中で上手くいくと、その分達成感も大きいと思うんです」と語る。

 畔柳は進学した中京大中京でエースとなり、甲子園にも出場。世代を代表する投手のひとりになり、プロ入りの夢を掴んだ。水谷氏は、誇らしい気持ちがある一方で「指導がいいから良くなるとは限らないですからね」とも。2020年のドラフト1位で中日に入団した高橋宏斗投手が高校の1学年上にいて“お手本”になった環境面や、何より畔柳自身の努力に目を向ける。

 自身のプロ時代は5年で現役を退いたが、その後コーチやスカウトで培った“選手を見る目”は鋭くも温かい。68歳を迎えた今も、孫のような子どもたちと真摯に向き合っている。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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