観客は「またタレントか、みたいな雰囲気」 “本格投球”で度肝抜いた女優の快感
2年前に地元・青森での楽天戦で始球式を務めた奥山かずささん
プロ野球の試合を彩る始球式。笑顔を振りまく愛らしい姿とは裏腹に、本格的な投球で観客の度肝を抜いた女優がいる。グラビアでも活躍する27歳の奥山かずささん。2年前、故郷の青森で投じた“華麗すぎる1球”に周囲からは反響も。昨日のことのように覚えている快感を胸に、新たな“野望”も見据えている。
2019年5月29日、弘前市運動公園野球場(はるか夢球場)で開催された楽天-西武戦。まだコロナ禍の世の中ではなく、スタンドは大勢の観客で埋まっていた。奥山さんは、楽天のユニホームに白いショートパンツ姿で登板。「すごかったです。ベンチからマウンドに行くまでの道のりで『選手はこういう気持ちなんだ』って思いながら、スターになった気分でした」と振り返る。
そんな高揚感とは対照的に、スタンドからの“期待値の低さ”も感じ取る。「『またタレントか』みたいな雰囲気を感じました(笑)。みんな期待していないんだろうなーって」。大暴投か、コロコロボールか……。「だからこそ私は自信をもって精一杯投げさせていただきました」。直後に観客から上がった野太い大歓声が、大方の予想を裏切った証しだった。
小学4年生で地元の少年野球チームに入団。中学で所属したソフトボール部は県内屈指の強豪で、厳しい練習の日々だった。高校でも競技を続け、10年近く白球を追った自信は揺るぎない。自他共に認める美しいワインドアップで、外角低めぎりぎりに制球してみせた。「アドレナリンがたくさん出ていたし、楽しい始球式でした」と満面の笑みを浮かべる。
自身にとっては、雪辱の舞台でもあった。思い出すのは、少年野球の大会で務めた始球式。「当時は本当に下手で、一生懸命お家で練習したんですけど、ワンバウンドでした」。悔しさは忘れられず「始球式なんてもう一生できないんだ」と思っていた中で、巡ってきたプロのマウンド。「バッターに絶対当ててはいけないっていう気持ちもありました」と配慮し、あえて外角に投じる余裕の“リベンジ”を果たした。
今でも「パーソル パ・リーグTV」の公式YouTubeチャンネルでは当時の映像が残る。撮影の現場などで仕事の関係者らから声をかけてもらうことも少なくないという。東北を沸かせた1球から2年半。隠し持った特技で、叶えたい夢もある。「またやりたいですね。欲を言うと……12球団でやりたいです」。華麗なフォームで、いつか列島を沸かせてみたい。
○奥山かずさ(おくやま・かずさ)1994年3月10日生まれ、青森県出身。小学4年から野球を始め、中学・高校ではソフトボール部に所属。2016年に「第1回ミス美しい20代コンテスト」で準グランプリを獲得し、本格的に芸能界へ。2018年にはスーパー戦隊シリーズ「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」で女優デビューを果たし、注目を集めた。多くのドラマに出演する一方で、グラビア活動も精力的に展開。2021年9月には、自身3冊目の写真集となる「月刊 奥山かずさ・想」(小学館)を出版。2022年のカレンダーも発売中。
(小西亮 / Ryo Konishi)