2021年で真の“勝負強かった打者”は? 打撃指標でも群を抜く広島・鈴木誠也

指標「Clutch」では12球団トップは中日の京田に

“勝負強さ”と言うと、重要な局面で、普段以上の力を発揮できる選手というイメージも思い浮かぶ。セイバーメトリクスには「Clutch」という指標もあり、これは選手個々において、通常の局面に比べて重要な局面でどれだけ働いたかを示す。打率2割の選手が好機で結果を残せば、プラスになり、打率4割の選手でも重要な局面で凡退が続くとマイナスになる。

 今季、400打席以上立った打者で最もこの「Clutch」が高かったのは中日の京田陽太だ。1.82を記録し、2位以下に0.3以上の差をつけている。京田は今季打率.257で得点圏打率も.244と高くない。だが、指標の上では通常の局面よりも、重要度の高い局面で打っていたということだ。

 2位は京田のチームメートである中日のビシエドが入り、ロッテのレアード、西武の栗山巧、阪神の近本光司、ソフトバンクの甲斐拓也と続く。レアードは「WPA」でも上位に位置しており、重要な局面でより結果を残し、勝利期待値の増加に大きく貢献していたということだろう。

 なお、「WPA」で1位だった鈴木誠は「Clutch」では-0.17となり、これは通常の局面でも重要な局面でも、その働きはほぼ変わらないことを示している。ヤクルトの村上宗隆は-2.15となっている。なお、この「Clutch」はシーズンを跨いでの一貫性はほとんどないと考えられている。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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