京大が強豪大と渡り合えるようになった訳 元鷹・近田新監督が与えた“きっかけ”とは

京大・水口創太【写真:京大野球部提供】
京大・水口創太【写真:京大野球部提供】

ソフトバンク時代に千賀を自主トレに「一流の選手と触れ合い、吸収することで何か変わるかも」

 何かひとつのきっかけで選手は劇的に変化する。ソフトバンク時代もその瞬間を間近にみてきた。2010年に育成ドラフト4位で入団した千賀滉大投手。可愛がっていた後輩を2012年1月に中日・吉見一起投手らが参加する自主トレ合宿に初めて参加させた。

「入った当初からえげつない球を投げる。後輩でしたがこれは凄い投手になると。一流の選手と触れ合い、吸収することで何か変わるかもしれない。きっかけがあればと思っていた」

 その予感は見事に的中。150キロを超える直球、落差の大きい“お化けフォーク”を武器に一気にブレークし、今では日本を代表する投手に成長した。

 現在のチームでも今秋のリーグ戦で水口創太(3年)が同大史上最速となる152キロをマークするなど、投手陣のスピードは過去に比べると格段に上がっている。試合を重ねるごとに力をつけることは認めつつも「まずは自分たちを信じ切れるか。優勝といいながら『これは勝てないなぁ』という言葉が出るのも事実」と課題も口にする。

 西日本屈指の大学が集うリーグで勝ち抜くのは容易ではない。それでも無限の可能性を秘めた“秀才軍団”を率いる指揮官は「今がめちゃくちゃ楽しい。京大は0か100でいい。無難はいらない」と、来春のデビュー戦を心待ちにしている。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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