最下位シーズンでは異例の大判振る舞い? DeNAに今オフ長期契約が続出する理由

主力の自覚促す意味も「全ての面で妥協は許されない」

 現在28歳の桑原は順調にいけば、来季中に国内FA権を取得する。球団は、今季中に取得した国内FA権を行使せず残留した宮崎とも6年契約、来季中に国内FA権を取得する見込みの三嶋とは3年契約、海外FA権を取得した大和とは行使の上で2年契約を結んだ。

 チームは過去に内川聖一(現ヤクルト)、村田修一(現巨人打撃兼内野守備コーチ)ら数々の主軸選手、昨季オフにも梶谷隆幸外野手と井納翔一投手(いずれも現巨人)をFAで他球団に奪われており、今オフは先手を打って流出を阻止した格好だ。今季中に取得した国内FA権を行使せず単年契約で残留し、将来的にメジャー挑戦を希望している山崎康晃投手だけが例外と言える。

 長期契約には、主力としての自覚を促す意味もありそうで、桑原は「全ての面で妥協は許されないと思う。周りからの見られ方も変わってくるので、しっかり自覚を持ってやっていきたい」と表情を引き締めた。過去の例から見ると長期契約には、危機感を弱め成績低下につながりかねないリスクもあるが、球団はプラスの効果を見込んでいる。

 一方、プロ1年目の今季からリーグ3位の打率.314を叩き出した牧秀悟内野手は、さすがに長期契約とはいかなかったが、プロ2年目の野手としてはプロ野球史上最高額の年俸7000万円で今月16日に契約を更改した。同20日のトークショーに牧とともに参加した三浦大輔監督が「保留して(額を)下げてもらうんじゃないかと思った」と笑わせたほどだ。

 球界には「3年続けて活躍して初めて本物」という“格言”があるが、今オフのDeNAからは「活躍した年にはドンと上げる」という姿勢がうかがえる。チームが最下位に沈んだシーズンとしては、異例の大盤振る舞いにも見える。来季は選手がこれに応える番だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY