“名手の証”が日本上陸 巨人・岡本とオリ・宗が着ける「ゴールドラベル」とは
グラブへのスタンスは対照的、こだわりの宗と対応力の岡本
今季から三塁にコンバートされた宗は、まるで大リーガーのようなダイナミックな守備でファンを沸かせた。グラブは外野手用に近いほど「大きい」のが特徴。ローリングスジャパンでグラブ開発を担当する日高泰也さんは「日本の内野手用では、一番大きいかもしれませんね」と言う。全長は31センチほど。29.5センチの選手が多い中では巨大とも言える。さらに「肩が安定しているので、捕ってしまえば何とかなると。メジャーの選手と同じ考え方で守っていますね。あとはしっかり掴めるようにと要望されました」。
グラブの手首部分の「幅」を狭くし、親指と小指を近く、しっかり掴めるように改良している。シングルハンドキャッチでも打球が入って来る形を追求。高い身体能力を生かしたプレーにマッチしている。外野を守っていた時期もあり、大きなグラブにも抵抗感はなかったという。
原型になっているのは現パドレスで、ゴールドグラブ賞も2回獲得しているマニー・マチャドのモデル。ウェブの形も含めほぼそのままだが「手を入れる部分を小さくしてほしい。しっかり扱えるように少し軽くしてほしいという要望はありました」と日高さん。親指の部分にパッドを入れ、よりフィット感を重視している。さらに型が変わらない程度に、グラブの背の部分から少しずつ余分な革を詰め、軽量化するという職人芸も尽くされている。
宗がこだわるのとは対照的に、岡本はどんなグラブでも使いこなしてしまう「対応力」が特徴だ。今季後半から宗と同じモデルを使い始めたが、しっくりくると分かれば、手元に届いた当日からでも練習や試合で使ってしまうほどの度胸があるという。
来季使用するグラブは宗と同じマチャド・モデルを原型に、一回り小さくしたもの。岡本の「大き目で、強くて、軽い」という相反する要望を叶えた。三塁手に求められる速く、強い打球への対応を追い求めている。
日本人大リーガーでも、パイレーツとの再契約が決まった筒香嘉智内野手がローリングスのグラブを使う。米国での用具のトレンドを、すぐに日本でも形に出来るのが同社の強みだ。名手とのお墨付きを得た宗と岡本の守備がどのように進化していくのか。興味は尽きない。