外れ1位で5球団競合から5年… 飛躍遂げた佐々木千隼が最後に流した悔し涙

ロッテ・佐々木千隼【写真:荒川祐史】
ロッテ・佐々木千隼【写真:荒川祐史】

悩まされた怪我を克服し54試合に登板「4年間で学ぶこともできた」

 それでも今季のロッテの躍進を佐々木千隼無しには語れない。桜美林大から2016年に外れ1位として5球団から指名を受けた末にプロ入り。そこからは“ドラ1”というプレッシャーと、怪我との戦いだった。

「プロに入ってからずっと満足いくような投球はできていないんで、活躍したいという思いはずっと持ち続けています。まだ何もしていない。このまま終われないなと思います」

 今春のキャンプ時にはこう語っていた。今季は肩肘の不安も解消され、キャンプも1軍で完走。昨季から取り組んできた“脱力”を意識したフォームも奏功し、球速こそ140キロ前後だが、打者を差し込めるようになった。その結果、独特の緩いスライダー、シンカーといった変化球が生きるようになった。

 入団から4年間、苦しんだ経験も生きている。「トレーニング方法とか、リハビリだったり、ケアだったり……。いろいろ怪我をしてきて、学ぶこともできました。そのお陰だと思います」。投げたくても投げられないもどかしさは、身に染みて感じてきた。今季離脱することなく投げ続けられたのも、過去の経験があってこそだった。

 強力なプルペンを形成し、141試合目までリーグ優勝を争ったロッテ。来季は新助っ人タイロン・ゲレーロもリリーフに加わり、また競争が始まる。怪我のないシーズンを送るため、オフは体を作りこむ予定だ。「1人1人役割というのはあると思うんですけど、その中で8回を任されて投げることができたのはとてもいい経験になりましたし、また競争に勝って、来季は優勝に貢献したいです」。最後の最後で味わった悔しさを胸に、更に逞しくなった姿でマウンドに戻ってくる。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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