野球人口増加への糸口に? ボール1個でできる男女混合5人制「Baseball5」とは

全日本野球協会・山中正竹会長、公認インストラクターの六角彩子さん、日本ソフトボール協会の岡本有章専務理事(左から)【写真:宮脇広久】
全日本野球協会・山中正竹会長、公認インストラクターの六角彩子さん、日本ソフトボール協会の岡本有章専務理事(左から)【写真:宮脇広久】

「大人と子ども、男性と女性の差が出ないスポーツ」

 全国の小・中学校でも体験会を行っており、「男子と女子が一緒にできるので、体育の授業に取り入れたいと言ってくださる方が増えています。野球と違って飛ばせば飛ばすほどいいというわけではなく、フィールドが狭いので肩の強さもそれほど必要ない。大人と子ども、男性と女性の差があまり出ないスポーツだと思います」と六角さんは言う。

 実際にやってみると、塁間が短いため、守備側が一塁送球で打者走者を刺すには、俊敏なフットワークが必要。パワーよりもスピードが大事だ。守備側はホームベースを守る野手がいないため、一瞬の状況判断やカバーリングが重要になる。

 2026年にセネガルのダカールで行われるユースオリンピックでは、公式種目に採用されることが決定。また、第1回Baseball5ワールドカップがメキシコで、そのアジア予選がマレーシアのクアラルンプールで、それぞれ2021年に行われる予定だったが、いずれもコロナ禍で2022年へ延期となった。詳しい日程が決まり次第、Baseball5JAPANはデジタルトライアウトなどを通して日本代表を編成する方針だ。

 六角さんは「国際大会になると、打者が女性を狙って打つことが増えると思います。しかし日本は女子野球やソフトボールが盛んで、女子のレベルが高いので、Baseball5で世界のトップを目指せるのではないかと思います」と目を輝かせる。確かに、女子野球のワールドカップでは日本が2008年以降6連覇中。女子ソフトボールでは日本代表が2008年の北京五輪に続き、今夏の東京五輪で金メダルを獲得したことが記憶に新しい。Baseball5でも高いポテンシャルを秘めていると言えそうだ。

 WBSCがBaseball5を考案した第一の目的は、2024年パリ五輪の実施競技から外れた野球・ソフトボールの世界的普及に活用すること。新競技から今後大きく発展していく可能性もある。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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