人的補償で岩嵜翔が中日へ 28人のプロテクトから外した鷹の思惑を読み解く
32歳という年齢、若いリリーフ陣の台頭、さまざまな要素絡む
ソフトバンクの岩嵜翔投手が中日に移籍することが27日、決まった。国内FA権を行使してソフトバンク加入が決まった又吉克樹投手の人的補償として指名され、両球団が発表した。又吉とのリリーフ投手の“トレード”のような形となった。
加入が決まった又吉は人的ないし金銭による補償が必要なBランクの選手だったため、ソフトバンクは28人のプロテクトリストを作成。中日側はこのリストから漏れた選手の中から、岩嵜に白羽の矢を立てた。2007年の高校生ドラフト1巡目で加入し、2017年にセットアッパーとして大活躍した右腕をプロテクトから外すのは苦渋の決断だっただろう。
岩嵜は160キロに迫るストレートと斬れ味鋭いフォークを武器にするリリーフ投手。空振り奪取力や三振奪取能力は球界でも屈指のものがある一方で、今季は突如として崩れる試合も多く、安定感に欠けるところもあった。それが48試合で2勝5敗6セーブ14ホールド、防御率4.17という成績に表れている。
ソフトバンクは間違いなく岩嵜は来季の戦力として考えていた。又吉の加入で又吉、モイネロ、森という「勝利の方程式」がプランの軸になっていたものの、本来の姿を取り戻せば、岩嵜はそこに割って入って来られるだけの能力を持った投手だった。
その一方で、プロテクトできるのは28人と限られる。チームには例えば甲斐野央や杉山一樹、板東湧梧、泉圭輔、津森宥紀といった若い投手がいる。彼らは短期的にだけでなく、長期的にも向こう数年間にわたってチームを支えることのできる人材。野手陣でも当然、プロテクトしなければいけない選手はいる。
岩嵜は来季がプロ15年目となる32歳。ここまでチームを支えた功労者でもあり、現時点での能力は高いが、将来的な伸びしろは若い投手には及ばない。また、今季の不安定な投球から来季、復活できるかは不透明でもある。中長期的なチーム戦略を考えると、プロテクト漏れも致し方ないところでもあるだろう。
中日にとっては今季のセットアッパーだった又吉が流出。祖父江大輔や左腕の福敬登、田島慎二、藤嶋健人とリリーバーはいるものの、岩嵜のような160キロに迫るストレートを武器とするのは、守護神のR・マルティネスくらい。他のリリーフとはまた異なるタイプなだけに、貴重な戦力になる可能性は十分にある。他にも多くの候補がいた中で、岩嵜を選んだところにもリリーフ陣をより厚くしたいという立浪和義監督の考えが透けて見える。
(Full-Count編集部)