「歯がゆさはありましたよ」現役引退した日本ハムの“アイドル”が漏らした苦悩

インタビューに応じた元日本ハム・谷口雄也さん【写真:荒川祐史】
インタビューに応じた元日本ハム・谷口雄也さん【写真:荒川祐史】

「ここで離脱したら、もう戦力外の筆頭候補だろ」

 覚悟を胸に迎えた2021年は、試練から始まった。1月の自主トレで、肩に引っかかりを感じた。「ここで離脱したら、もう戦力外の筆頭候補だろ」。そんな思いで、だましだましやることにした。5年前、膝を怪我した時と同じだった。休んでいれば、チャンスはどんどん減っていくのだ。

「4月はキャッチボールをしても、10メートル投げるのがやっと。キャッチボールも出来ずに試合に入るとか、力を温存してシートノックから全力を出すとか、その中で自分のできることをやろうと思っていました。後悔したくないからです」

 日本ハムは新陳代謝が早いチームだ。ドラフト指名も高卒が中心で、どんどん若い選手が入って来る。若いうちからまとまった出場機会を与え、見極めていく。そのなかで11年目、ベテラン寸前の選手に与えられる出番は少ない。せいぜい2~3試合に1回の代打や、指名打者が出番となった。

「そう思えば思うほど結果が出ない。やらなければいけないのにというもどかしさが凄くて……」。昨季、谷口さんが2軍で残した成績は58試合で打率.244、3本塁打。1軍では8試合、12打数2安打が全て。覚悟を決めるには“十分”な数字だった。

「夏前から、もうこれは『呼ばれる』ものだと思っていましたよ。でもそんな中で、素直に野球選手でありたいと思ったんです。できないならできないなりに務めようと。だから6時くらいには球場に来て、7時前には動き始めていました。お風呂に入って温めて、ストレッチして。1日動くための準備は毎日欠かさずやりました」

 誰よりも早く球場に来た。隣の寮に住んでいる若手より早くグラウンドに出て、体を温めた。それで出番が増えるわけでもない中、そうして“やり切れた”原動力は何だったのだろう。

「小学校1年生から野球をしてきて、それが終わるかもしれないという瀬戸際です。プロ野球に大した成績を残したわけでもない。『やり遂げたこと』を最後に残したい、キレイに終わりたいという一心だけでしたね」

「アイドル選手」の苦悩と感謝…「いい時も悪い時も名前が」

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