「僕自身が強くなれる」鷹・甲斐拓也が年下6人を自主トレに迎え入れるワケ
ヤクルトの嶋に“弟子入り”した自主トレが今年は8人の大所帯に
16日に報道陣に公開されたソフトバンクの甲斐拓也捕手の自主トレ。地元の大分市内で、ヤクルトの嶋基宏捕手、後輩の海野隆司捕手、楽天の石原彪捕手、江川侑斗捕手、巨人の山瀬慎之助捕手、DeNAの東妻純平捕手、広島の石原貴規捕手と捕手8人が集い、互いに刺激し合いながら、日々、ハードな練習に励んでいる。
この日は、まず午前中にランニングや体幹強化のメニューをこなし、さらにはゴロ捕球やスローイング練習に汗を流した。昼休憩を挟み、午後からはみっちりと打撃練習。ティー打撃やフリー打撃などで延々2時間半にわたってバットを振り続けていた。
江川、山瀬、東妻の3選手はいずれも20歳。石原と海野も今季が大卒3年目となる若手の捕手たちだ。もともとは嶋の自主トレに、甲斐が“弟子入り”したことで始まったこの自主トレだが、嶋の実績と経験があり、そして甲斐が侍ジャパンの正捕手になるまでに成長するにつれて参加者が増え、今年はついに8人もの大所帯になった。
若手からの願いに応える形で行われる自主トレだが、先輩である甲斐にとっても得られるものは大きいという。以前に柳田悠岐が話していたのと同様に「学ぶことももちろんたくさんあります」と、先輩後輩問わず、他の選手から学べることは数多くある。そして、それ以上に自主トレに迎え入れる側にしか得られないものがあるという。
「僕も嶋さんにお願いして練習させてもらって、見て成長するところもたくさんあります。ただ、20歳という若い子が3人もいてやるというのは、僕自身、責任も持たないといけないというのが1番あります。僕がしっかりやらないといけないという自覚も出てくるので、そういった部分を含めて僕自身が強くなれるのかなと思っています」
まだ20歳と未来のある若手選手たち。そんな彼らと自主トレを共にすることは、彼らの野球人生の一端を担うことになる。ましてや他球団の選手たち。球界の先輩として、野球人として、あるべき姿を示さなければいけないという責任がつきまとう。その責任を負うことで「強くなれる」のだという。
扇の要として、東京五輪で侍ジャパンを金メダルに導いた甲斐だが、まだ現状に満足し、甘んじることはない。「もっと成長していきたい。もっともっと厳しく、求めて言って、レベルアップしたいと思っている」。若い力と汗を流す地元・大分での自主トレ。選手として、捕手としてもうひと皮もふた皮も剥ける時間にする。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)