「豚肉」が再び引き合わせた古巣との縁 鷹が行う元ドラ1のセカンドキャリア支援
江川氏と球団を再び引き合わせたのは同期入団の元投手
江川氏の「豚肉」とソフトバンクを再び引き合わせたのは“人の縁”だった。繋いだのは、江川氏と同じ2004年のドラフトで3位指名を受けた元投手の高橋徹氏だった。横浜創学館高からプロ入りし、現在は球団の事業統括本部営業本部で働く同期生とは転身後も連絡を取り合っていた。その中で「一緒にできるんやったら嬉しいな」と話しており、高橋氏は実際に球団内の担当部署に相談した。
「徹も徹で仕事があるし、ここまで本当に動いてくれると思っていなかった」。ドーム内飲食の担当部署も乗り気だった。もともと、選手のセカンドキャリア支援には積極的な球団だ。「たとえ球団を離れていたとしても、応援できるのであれば、選手のセカンドキャリアを応援したい」との想いもあり、江川氏の販売する「一志SPポーク」のメニュー化の話は昨年12月に動き出した。
「すごくありがたいお話だと感じています。本当に人と人の繋がりって、すごく大事だなと思います」としみじみと語る江川氏。15年間の現役時代の“財産”として「出会えた人にすごく満足しています」と挙げる。実直な人柄で15年間、野球と向き合い、周囲の人と向き合ってきたことで培った人の縁が、引退してチームを離れた後に、また新たな縁を生み出した。
第2の人生を歩み始めた江川氏が密かに胸に抱くようになった思いがある。「選手の中には、セカンドキャリアを不安に思ってる選手も多分いると思います。僕は選手もやって、1年ですけど、裏方もやらせてもらいましたし、今の経験というものも伝えられる。誰かが聞いてきたらですけど、そこを伝えていくのも役目かなと思っています」。これも選手のセカンドキャリアの形になる。そんな思いも持ちながら、江川氏は新たな人生を歩んでいる。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)