少人数で“分散練習”の難しさも…イチロー氏の教えで深まった「自分自身との会話」

国学院久我山・尾崎直輝監督【写真:中戸川知世】
国学院久我山・尾崎直輝監督【写真:中戸川知世】

オンライン学習システムの「グーグルクラスルーム」を導入

 そこで、オンライン学習システムの「グーグルクラスルーム」を導入。尾崎監督は「動画などを添付しながら、今日は各グループがこういう練習を行ったとか、週末にはこういう練習をするという情報を、全部員で共有するようにしています」と説明する。「感染者が出て1度でも活動がゼロになってしまうと、再スタートのタイミングを計るのも難しくなる。安全運転で活動しているのが現状です」と言う。

 チームはイチロー氏の直接指導に大きな刺激を受けた。上田主将は「走塁面では基本的な体の動かし方からコース取りまで、打撃では技術だけでなく打席内での考え方まで、いろいろ教えていただきました。自分たちがこれまでやってきたものとは“別物”でした」と振り返る。昨夏の西東京大会で決勝まで進み(東海大菅生に敗戦)、新チーム結成後の秋季東京都大会で優勝と、チーム力が上昇していたところに、イチロー氏の教えが加わった。尾崎監督は「選手たちは以前より細かく考え、自分自身とよく会話するようになった」と目を細める。

 過去は春3度、夏3度の甲子園出場で通算1勝(2019年夏)。選抜大会ではまず通算2勝目、次にチーム初の1大会2勝、そしてベスト8進出までを目標に掲げる。さらに、一昨年12月にイチロー氏から指導を受けた智弁和歌山高が昨夏の甲子園で全国制覇を果たしたことから、尾崎監督は「選手たちは野球に本気で向き合い、イチローさんに教わったことを体現していけば、ああいう結果につながると思っているのではないか」と手応えを感じている。

 こうして蓄えてきた実力を発揮するためにも、感染対策は大前提。コロナ禍は2月1日にキャンプインを控えるプロ野球界にも支障をきたし始めた。球児たちの積み重ねを台無しにすることがないように、願うばかりだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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