山本由伸の進化とは? 投手5冠と支配した2021年、成長続ける5年間にデータで迫る

毎年ハイレベルな投球を見せるが、球種の割合は少しずつ変化

 球種の面では、150キロ台後半に達する快速球と、140キロを超える速度から鋭く落ちるフォークが、山本の大きな武器だ。それに加えて、フォークと同じく140キロ台の球速で変化するスライダーとカットボール、150キロを超える速さで変化するツーシーム・シュートと、速球と見紛うようなスピードで変化するボールが大半となっている。

 他の投手では見られないような、高速かつ切れのある変化球が5つ以上備わっている中で、カーブは120キロ台とブレーキが利いており、他の球種と20~30キロほど球速差がある点も見逃せない。速い球だけを意識していたらカーブで簡単に見逃しストライクを取られてしまうところも、山本の攻略を難しくしている。

 そうした球種の使い分けを把握するための一助として、山本が1軍に定着した2018年以降の4年間における、ポストシーズンも含めた結果球の割合を紹介したい。

山本由伸投手 2018年結果球割合(C)PLM
山本由伸投手 2018年結果球割合(C)PLM

 中継ぎを務めていた2018年は、速球、フォーク、カットボールの3球種が結果球の大半を占めていた。リリーフ投手は多投する変化球の種類を絞り、決め球の割合を増やしていく傾向にある。山本の場合もその例に漏れず、短いイニングを抑えきるために効果的な球種を多投していたといえよう。

山本由伸投手 2019年結果球割合(C)PLM
山本由伸投手 2019年結果球割合(C)PLM

 だが、先発に転向した2019年にはカーブとスライダーの割合を増やし、的を絞らせない投球術が見られるように。ハイレベルな変化球を多く持ち合わせる山本にとっては、機を見て多彩な持ち球を使い分けられる先発への再転向が、さらに強みを活かす投球スタイルにつながったとも考えられる。

2020年は奪三振率が大きく向上、カーブの割合アップ

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