事業停止の窮地からなぜ再生? ロゴも見直し…野球メーカー「ワッペ」の改革

「ワールドペガサス」のグラブマイスター・西島唯博さん【写真提供:ワールドペガサスジャパン株式会社】
「ワールドペガサス」のグラブマイスター・西島唯博さん【写真提供:ワールドペガサスジャパン株式会社】

グラブマイスター・西島唯博さんが新たなブランドイメージ確立

 紆余曲折を経て、再び脚光を浴びている。創業56年の歴史を持つ野球用具メーカー「ワールドペガサス」。巨人の1軍投手チーフコーチ・桑田真澄氏がグラブを愛用していることでも知られる。愛称は「ワッペ」。長年ファンの期待に応えながら、新たなブランドイメージも確立して再生の道を歩んでいる。【間 淳】

 丸みのある「W」の中央に「P」が入ったロゴに親しみを感じる人は、30代以上の世代に多い。躍動感のある筆記体のロゴになじみがあるのは、若い世代だ。桑田氏が、現役時代からコーチになった今も継続して愛用しているワールドペガサスのグラブ。野球用品を製造・販売して56年となる老舗は今、変革期を迎えている。

「ブランド名に歴史はありますが、事業展開自体は新しいワールドペガサスです。品質の良さでは他社に負けない、新規ブランドのイメージでやっています」

 言葉に力を込めるのは、ワールドペガサスジャパンの西島唯博(にしじま・ただひろ)専務。スポーツ用品メーカーのアシックスやローリングスを経て、2017年に入社した。所属は変わっても、グラブとともに歩んできた人生。これまでに200万個以上の製作に携わった「グラブマイスター」だ。

 ワールドペガサスの親会社は、現在のワールドペガサスジャパンで5社目となる。西島さんが入社した2017年は、事業を停止して破産申請した前の会社から経営権が移ったばかりだった。ブランド再生へ。再建を託された西島さんが軸を置いたのが、グラブの品質だった。

 たとえ1枚の革で5つ作れたとしても、3つしか作らない。グラブの一部に、しわができてしまうためだ。西島さんが求めるのは「手にフィットして選手が思い通りに捕球できるグラブ」。でき上がると自らチェックし、最高品質を保証する「西島刻印」を入れる。「昔より良くなった、品質が安定していると言われるようになりました。少量でいい物を作ることが実現できています」。当然、コストはかかる。だが、購入者の期待は決して裏切らないと自負している。

往年のファンと若者…ブランドロゴも新旧2種類を展開

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