「笑いながら投げろ」新庄監督の仰天アドバイスは最優秀中継ぎ左腕をどう変える?
昨季3勝39ホールドの左腕・堀瑞輝がさらに上を行くために必要なこと
日本ハムの新庄剛志監督が昨季パ・リーグ最優秀中継ぎに輝いた堀瑞輝投手に「笑いながら投げろ」というアドバイスを送った。野球の「楽しさ」と、そこに至るまでの「厳しさ」を指導でも使い分ける新庄監督が左腕セットアッパーに出した“指令”の狙いはどこにあるのだろうか。
2日、このキャンプ初めて1軍を指導した新庄監督は、タピックスタジアム名護のブルペンに入った堀の投球を様々な角度からチェックした。正面から球筋を見つめ、投げる堀の後ろに立つことも。堀は真後ろに立たれた場面を「めちゃくちゃ投げづらいというのが正直な気持ちです。でもそこで『笑いながら投げてみて』と言われて、リラックスできました」と振り返る。現役時代から野球を楽しむことを追求してきた指揮官の“らしい”言葉だった。
堀は昨季、3勝39ホールドを挙げる活躍で自身初のタイトルを獲得した。ただそこに安住していては、同じ数字を残すことさえ、おぼつかなくなるのがこの世界だ。「変化をつけつつ、進化したい」と思っていたところに、指揮官から直々のチェンジ指令。堀も前向きに受け取っている。
プロ入りしてからの5年間は、極力感情を表に出さないような投球を心掛けてきたという。新人時代にコーチから「感情を表に出すな」と言われたのがきっかけだった。表情に気持ちの揺れが表れれば、打者に攻略のヒントを与えてしまうこともある。そのスタイルで結果を残してきた堀がさらにひとつ上の世界に行くために、新庄監督は「楽しむ」ことが必要だと判断したのではないだろうか。
プレースタイルの大きな変更は、一朝一夕には果たせない。堀も現状では「僕が考えつつ投げていたのが、楽しそうじゃないと思われたのかな。プロに入ってからそういう風にはやってこなかったので“気持ち悪い感”が凄いです」と苦笑いする。一方で「笑いながらだと、変に力が入らずリラックスして投げられるのがメリットだと思います」とも。伸び伸びと、自分の力を出し切ることに集中した堀が次にたどり着くのは、どのようなステージだろうか。
(羽鳥慶太 / Keita Hatori)