日系人野球の父は「なぜ殿堂入りしないのか」 知識検定の設立者が伝える偉業

銭村氏は昭和初期のニグロリーグ来日に尽力した

 1900年に広島に生まれた銭村氏は子どもの頃に家族でハワイへ移住。その後カリフォルニア州フレズノに移り、日系人チーム、日系リーグを設立した。日系チームの一員として複数回来日して日本のチームと対戦した他、1927年にはニグロリーグ来日に尽力した。

 これが1934年のMLB選抜の来日に結びついた。ベーブ・ルースやルー・ゲーリッグらで構成されたMLB選抜は、全日本相手に16戦全勝の成績を収めたが、17歳の沢村栄治投手が見せた8回9奪三振1失点の快投は現在も語り草になっている。また、銭村氏の息子である健三氏と健四氏は1953年途中に球団初の外国人選手として入団。健四氏は1954年オールスター出場を果たしている。

 こういった経緯から銭村氏は「日系人野球の父」「日米野球の架け橋」とも称される。一木さんは「ニグロリーグ来日は歴史的にも意義があり、日本の野球の良さを米国に届けた人なのです。銭村さんがなぜ殿堂入りしないのか」と疑問を投げかける。

 一木さんは「野球の歴史をもっと学んでほしい。そうすればもっと愛着が湧きます」とも訴える。歴史を知れば、野球への造詣が深まり、見方も変わってくる。その一助になればと知識検定を実施する。「続けているうちに意義を感じ始めました。今後はもっとステータスを高めていきたいですね」と力を込めた。

○野球知識検定 初級の6級から最難関の1級まである。6~4級は100問、3~1級は50問出題され、4~1級の合格基準は80%以上(同じ問題が出題される6級は70%、5級は90%)。出題者には、元プロ野球審判員らもいる。合格者には認定書、認定カード、認定ピンバッジが授与される。これまでに約8000人が受験、1級合格者は1桁にとどまる。詳細は公式サイト(http://www.89kentei.com/)で。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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