全打席が1死満塁“新庄流”の紅白戦 監督の意図を最も理解したドラ3新人の可能性

紅白戦を見つめる日本ハム・新庄剛志監督【写真:羽鳥慶太】
紅白戦を見つめる日本ハム・新庄剛志監督【写真:羽鳥慶太】

満塁が好物だった新庄監督…ルーキー水野に見えた“後継者”の素質

 そんな指揮官の思いを知っていたかのような打撃を見せたのが、ドラ3ルーキーの水野だった。プロで初めて迎えた実戦の打席で初球を左翼にはじき返し、2人の走者が生還した。

「投手が変わるタイミングだったじゃないですか。投球練習からストレートが来るタイミングで準備していました」と社会人出身らしい周到な準備が光る。さらに「ランナーがいるほうが好きですね。モチベーションが上がるので。打点にこだわってやっていきたい」と緊張もどこ吹く風だ。現役時代の新庄監督のような“お祭り男”の資質も十分と見た。

 この特殊な紅白戦の中身が、水野たち野手に伝えられたのは開始直前。そこで瞬時に意図を理解し「何としても1点が欲しいところ。最悪外野フライを打つイメージです。久々の実戦でストレートに振り負けなかった。収穫のある打席でした」と言ってのける。

 初の紅白戦を終えた指揮官は、個々の選手への評価を「そこは見ていないかな」と避けた。ただ自らの意思を予め知っていたかのような水野の動きは、印象に残ったはずだ。新人が結果を残せば、強化に欠かせない競争の種がまた一つ増える。

「打ったらどんだけ嬉しいか。投手も抑えたらよっしゃとなる。1死満塁は俺、大好物だったので。これからも(練習は)続けます」と新庄監督。水野は、指揮官の後を継ぐ“満塁男”になれるのか。一から、いやゼロから始まったポジション争いの行方がさらに熱くなる。

○水野達稀(みずの・たつき)2000年7月30日、香川県丸亀市出身の21歳。丸亀城西高では3年夏にチームを13年ぶりの甲子園へ導く。卒業後はJR四国に入社し、2019年の都市対抗野球では2000年以降の生まれで初となる本塁打を放った。昨秋のドラフトで日本ハムの3位指名を受け入団。身長171センチ、体重75キロ。右投げ左打ち。背番号43。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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