楽天の若手左腕が2回完全もあえて“注文” 石井監督が選手に求める「目的意識」

打者には「なんとなくふわっとバットを振ってはいけない」

「例えば真っすぐで押すとか、自分はこうしたいという意図が見えた方がいい。今日はいろいろなボールを投げて、いろいろな打ち取り方をしていた。今はそれで良くても、次のステップで相手打者が調子を上げてくれば、もうひとつレベルを上げる必要がある」と説明。調整段階のこの時期、遮二無二投げて結果的にヒットを打たれないだけでは足りない。投手が1軍で何らかの役割を任されるには、自分の特長を把握した上で、シーズンへ向けてどんなピッチングスタイルを、いかにして確立して行くかという目的意識が問われるのだ。

 攻撃では1回1死二塁で、4年目の渡辺佳明内野手が相手の先発左腕・河野の初球を鮮やかにとらえ、先制左前適時打。石井監督はここでも「結果はファウルでも凡打でも構わない。ファーストストライクに対して、しっかりコンタクトできるボールを狙ってスイングできたことが良かった」と指摘。「なんとなくふわっとバットを振って、球がちょっと変化して当たってしまった、というのが一番良くない。目的意識を持ったスイングをしてほしい」と説いた。

 言うまでもなく、石井監督はヤクルト現役時代に、2020年2月に亡くなった名将・野村克也氏の薫陶を受けた。ノムさんは常に選手たちに「根拠は何だ?」と問いかけ続けたといわれる。バッテリーの配球にしても、打者の狙い球にしても、選択に至った明確な理由を求め、行き当たりばったりの直感に頼ることを嫌った。逆に結果が悪かったとしても、そこに納得できる根拠があればお咎めなしだった。この日、選手の目的意識にこだわる石井監督の姿勢は野村氏を彷彿とさせた。

 就任1年目の新庄監督も、阪神での現役時代に野村氏の下でそのエキスを吸収した1人。石井監督は話題の敵将を「(日本ハムは)若いチームなので活気づけることが大事。情熱のある方が入ったことで勢いを感じる。僕たちはその勢いに押されないようにやっていかなければならない」と語ったが、監督として“1年の長”があるだけに、シーズンを通して負けるわけにはいかない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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