阪神が優勝するための正捕手は梅野か? 坂本か? 球団OBが占う争いの行方

「打撃、盗塁阻止、ブロッキングは、疑いようもなく梅野が上」

「僕にも経験がありますが、普段は控えの捕手が出場機会を得た場合に何を考えるかというと、正捕手とは違うリードをしようということです」と野口氏。昨季を回顧し「梅野は打撃の調子がいい時は、両コーナーを幅広く使い、打者に狙いを絞らせないリードができていたのですが、打撃不振に陥ると、インコースの要求が減り、そうかといってインコースに行くとなると一辺倒になっていました。坂本はそれを見て、コースが偏らないように散らしていましたし、比較的変化球が多いと感じました」と解説する。

 とはいえ、もともとの打撃技術は梅野の方が上。打者としての梅野は昨季、130試合に出場して打率.225、3本塁打33打点と低迷したが、坂本は45試合で.185、1本塁打6打点とさらに下回る。

「打撃、盗塁阻止、ブロッキング(ワンバウンドの投球を後逸せずに止めること)は、疑いようもなく梅野が上。坂本も決して下手ではありませんが、梅野は球界屈指のレベルですから。特にブロッキング能力は、どれだけ投手に安心感を与えることか。走者が三塁にいてもワンバウンドの球で勝負できるとなれば、投手は思い切って腕を振ることができますから」

 昨季は143試合中、梅野が125試合、坂本が18試合で先発マスクを被った。「今季も125試合くらいは梅野が出ないと、阪神は優勝を狙えないと思います。梅野を月に1、2度休ませ、そこで坂本を使っていく形がいいのではないか」と野口氏。現在、阪神の1軍キャンプでは長坂拳弥捕手を含め、3人の捕手がしのぎを削っている。捕手出身で、今季限りでの退任を宣言して不退転の決意を示した矢野監督のハートを射止めるのは、果たして誰か。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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