痛感する“中日黄金期の異常さ” 稀代の守護神から教わった「本当の勤続疲労」

2軍キャンプで調整を続ける中日・福敬登【写真:小西亮】
2軍キャンプで調整を続ける中日・福敬登【写真:小西亮】

20年の最優秀中継ぎ、中日・福敬登は左肋骨の疲労骨折から復帰を目指す

 2020年に最優秀中継ぎのタイトルを獲得した中日の福敬登投手が、“本当の勤続疲労”と向き合っている。2019年からセットアッパーとして3年連続で50試合以上に登板し、昨年11月には左肋骨の疲労骨折が判明。沖縄・読谷村での2軍キャンプで復帰へのステップを踏みながら、複数シーズンに渡ってフル回転するための考え方を学ぶ。

 16日の練習では、シート打撃に登板。ドラフト6位ルーキーの福元悠真外野手(大商大)や平田良介外野手に一発を浴びたものの、着実に段階は上がっている。長いシーズンを見通し、あえて開幕に間に合わせようとは思わない。万全な状態に整えて1軍に上がり、そのまま戦力になり続けることを見据える。

 リリーフ投手にはついて回る疲労の蓄積。単に体が限界を超えるから故障するのだと思っていたが、レジェンド守護神が真の意味を教えてくれた。

「おまえ、心と体が合わんやろう? それが勤続疲労や」

 キャンプの視察でブルペン投球を見てくれた岩瀬仁紀氏の言葉が、そのまま当てはまる。「確かに、心が『いけるで』って言っても、体が『ちょっと待って』とついてこないんです」。プロ野球史上最多407セーブを誇る鉄腕の実体験は重く、尊かった。

 同じ経験を共有できた一方で、岩瀬氏の成績を振り返ると目が眩みそうになる。15年連続で50試合以上に登板。そのうちの8年は防御率1点台だった。現在2軍投手コーチを務める浅尾拓也氏も、2009年から67試合、72試合、79試合と怒涛の登板数を重ねた。黄金時代を支えた2人の姿は「やばいですって。あらためて異次元だと思います」。同じリリーフとして、その異常さを痛感する。

 選手生命を左右しかねない大きな怪我をしないためにも、心と体のすり合わせは欠かせない。「3年連続50試合くらいはいける。そこから先が本当に大変だと思います」。4年連続、5年連続、さらにその先へ……。鉄腕の教えを胸に、1試合でも多くマウンドを重ねていきたい。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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