柳田や甲斐も驚く“ケタ違い”のボール 鷹の開幕投手・千賀滉大“独特”の調整論

20日の紅白戦に先発したソフトバンク・千賀滉大【写真:荒川祐史】
20日の紅白戦に先発したソフトバンク・千賀滉大【写真:荒川祐史】

千賀の考えは「バッターに、というのに重きを置いていない」

 ただ、キャンプ中に千賀は打撃投手やシート打撃に「投げる気はないです」とキッパリ。経験を積んだ投手はいきなり紅白戦に入っていくこともあり、千賀自身も20日の紅白戦で登板したが、それは「首脳陣の方を安心させるためだけ、かなくらい」との考えから。さほど紅白戦の登板に意味は見出していない。

 千賀の考えはこうだ。

「バッターとの間合いとかは分かるので。投げていて、打たれそうだなというのは客観視できていると思う。この球なんで打たれたんだろう、と思うことは正直ないと思うので。これで大丈夫だと思うボールを増やしていくことが重要。バッターに、というのに重きを置いていないです。そもそも投げる相手が身内ですし、思い切って放れるわけじゃない」

 右腕が重要視するのは、いかに自分が思い描くフォーム、やりたい形で、納得のいくボールを高い確率で投げられるようになるか。それができるようになれば、たとえ実戦登板が少なかろうが問題ないという。実戦に求めるのは、コンディションを向上させ、イニング数と球数を投げられるようにしていくこと。「ブルペンでしっかり自分のいい時間を送っていきたい」と、自らが思い描く調整を進めていく。

「自分の過去やってきたことの全部を塗り替えたい」とキャリア最高の成績を目指す2022年の千賀。藤本監督も「1年間怪我なくやってくれれば、自ずとすごい数字が出てくるんじゃないかと思う。十分タイトル取れるくらい勝てるんじゃないですか」と大きな期待を寄せている。リーグ優勝、日本一奪還へ。今年の千賀に期待せずにはいられない。

○著者プロフィール
福谷佑介(ふくたに・ゆうすけ)
1982年8月、東京都生まれ。大阪や愛知で少年時代を過ごし、早大から報知新聞社入社。サッカー担当、野球担当を経て独立し、フリーに。月刊ホークスやベースボールマガジン、ホークスファンクラブ会報誌などにも寄稿。現在はFull-Countで執筆活動を行う。ソフトバンク・甲斐拓也捕手のスローイングを初めて「甲斐キャノン」と表現した。

【Twitter】https://twitter.com/yusukefukutani

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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