大谷翔平の141m弾は「シュール」 米在住記者に刻まれたマグワイアを超える衝撃 【マイ・メジャー・ノート】第1回

33号ソロを放ったエンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】
33号ソロを放ったエンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

米FOXスポーツは大谷の豪快弾に嘆き節?「表現方法がもうない」

 不透明なキャンプインを待つひとときに、昨季の取材で最も印象に残ったことを考えてみた……。

 エンゼルスの大谷翔平が放った盛夏のホームランである。

 デンバーでの球宴を4日後に控えた7月9日、マリナーズの本拠地T-モバイル・パークの右翼4階席(アッパーデッキ)の中段に届いた33号ソロは、これまで見たどの選手のホームランよりも華麗で豪快なアーチだった。記者席からの視界からなかなか落ちてこないといった感じのそれは、推定飛距離463フィート(約141メートル)と計測された。

 翌日、着弾地点を確認するためアッパーデッキへ。その高さに、変わる空気の流れを肌で感じ、“異次元の打球”とさえ思えた。打球速度116.5マイル(約187.5キロ)、角度31度の特大弾の正体は、数値だけでは到底つかみきれない。

 ボールが弾んだ場所をすぐ近くで目撃したという客席担当係のウイリアム・メセカーさんはこう言った。

「打撃練習では見たことがありましたが、試合ではありません。ワァーオ!と思わず叫んでしまいましたよ。大げさに聞こえるかもしれませんけど、本当に腰が抜けそうになりました」

 10日後に、82歳の誕生日を迎えるご尊老は、打球の凄みを膨らませるかのように腰をさすった。

“驚愕の一発”“超特大弾”“圧巻の一撃”……。次々と繰り出される大谷の豪快弾は、言葉の過剰発信を誘発し、米FOXスポーツのMLBツイッターからは「オオタニのホームランについてツイートする表現方法がもうない!」の嘆き節が漏れた。あの打球を目の当たりにして、できるだけ正確に表したいという必要を感じながらも、僕は適切な言葉を見つけられなかった。が、今は、明快にできる一語がある。それが「シュール」だ。

浮かんだ名画のワンシーン、等身大の大谷翔平をなぞることに気づかされる

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