DeNA投手陣立て直しの“秘密兵器” 三浦監督、斎藤コーチも学んだ76歳・名伯楽の存在
コミュニケーションを重視する小谷氏の指導スタイル
「さらに長所を伸ばしながら短所も伸ばしていこうというのが、小谷さんの指導法。それぞれにあったピッチングスタイルを提供するコーチだと思います。昔は自分の理論に当てはめようとするコーチが多かった中、選手とコミュニケーションを重ねながら、その人には合っているのかを考えてくださるコーチでした。今考えてみると、比較的新しいことをしていたのかもしれません」
自分の型にはめるのではなく、投手1人ひとりにあったスタイルを作り上げるという柔軟性と引き出しの多さがあるからこそ、76歳という大ベテランになった今でも指導のオファーが来るのだろう。選手たちも小谷氏の言葉に耳を傾け、吸収できるものはしようという積極的な姿を見せていたという。五十嵐氏は言う。
「おそらく選手にとっては、今までにない角度から見たアドバイスもあると思います。そういった小谷さんの言葉を、選手がどう受け止めてやっていくか。自分にとって今までなかった新しい風が吹いているわけです。受け止め方はもちろん、実践するかしないかは選手次第。ただ、必ず刺激にはなっていると思うので、いい方向に進めばいいと思います。監督、コーチ、選手、みんなの表情が明るかったので、チーム状況はいいはずですよ」
DeNAは昨季、12球団で唯一チーム防御率が4点台(4.15)を記録。「横浜反撃」を実現するには、投手陣の立て直しが必須条件だ。三浦監督と斎藤チーフ投手コーチは、改めて投球の原点とも言えるストレートにこだわり、第1クールでは全投手にストレートをしっかり投げきることに集中させた。基礎を大切にしたいという想いが、小谷氏へのコーチングアドバイザー就任オファーに繋がったのだろう。
昨季の日本シリーズで対決したヤクルトとオリックスは、いずれも前年リーグ最下位からの大躍進を遂げたチームだった。今季はDeNAが世間をアッと驚かせる存在となれるのか。復活のカギは投手陣が握っている。
(佐藤直子 / Naoko Sato)