野球未経験の父が独学でサポート 出社前の朝練が結実した“父子のサヨナラ打”

亮一さんは高校時代サッカー部に所属も息子とともに野球を勉強、今では審判も務める

 51歳の亮一さんは高校時代、サッカー部に所属し、野球経験はない。ただ、岳くんが小学3年生の時、いとこの影響で野球を始めると、自らも勉強し始めた。指導本や動画で学ぶだけでなく、所属していた少年軟式野球チームでも、コーチとして手伝い、現場で知識や指導法を吸収した。そして毎日、出社前に必ず朝練に付き合い、汗を流すようになった。

 知識は野球技術にとどまらない。審判講習会にも参加。ポニーリーグの大会でも、実際に審判としてグラウンドに立つ日もあった。そしてこの日、三塁付近から愛息の痛烈な一打を間近で見届けた。

 大会前、岳くんは父から「中途半端なスイングはするな。打てなくてもいいから思い切って振れ」とアドバイスを受けていた。「その言葉が自信に繋がりました。お父さんのおかげで打てたと思います」と感謝する。サヨナラ打を放った時、審判を全うする父とは目は合わなかったが「きっと喜んでいたと思います」。親子の努力が実を結んだ一打だった。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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