鳥谷、吉見…なぜ元一流選手が続々と“社会人コーチ”に? 双方にあるメリットとは

パナソニックのコーチに就任した鳥谷敬氏、東芝のアドバイザーを務める谷佳知氏、元中日の吉見一起氏(左から)【写真:荒川祐史、東芝野球部提供】
パナソニックのコーチに就任した鳥谷敬氏、東芝のアドバイザーを務める谷佳知氏、元中日の吉見一起氏(左から)【写真:荒川祐史、東芝野球部提供】

昨季限りで引退した鳥谷氏が名門・パナソニックのコーチ就任

 阪神とロッテでプレーし、昨季限りで現役を引退した鳥谷敬氏が、社会人野球の名門・パナソニックのコーチに就任した。社会人野球界では最近、プロで輝かしい成績を残した元NPB戦士たちが続々と指導者としての役割を担うように。一流の経験や知識を、未来の即戦力候補たちに還元している。

 パナソニックは5日、公式インスタグラムで契約締結を発表。チームカラーのパーカーに袖を通した鳥谷氏の姿も公開し、「合流初日となった本日の全体練習では、プロ野球生活で培われた技術、経験を選手たちに指導頂いています!」と綴った。早大から阪神入りした鳥谷氏にとっては古巣ではないが、投稿では「技術指導や野球部の行う地域貢献活動等へも参加頂く予定です」と多方面で協力を得るようだ。

 鳥谷氏のほかにも、元プロが“英知”を注ぎ込んでいる。2020年限りで現役を引退した元中日の吉見一起氏は、昨年から古巣・トヨタ自動車のテクニカルアドバイザーに就任。打撃投手を務めるなど精力的に指導する姿を見せている。現役時代は黄金期を支えたエースで、最多勝を2度獲得。精密機械と呼ばれた制球の技術だけでなく、自身が大事にしてきたメンタリティも伝えている。

 2021年から東芝のエグゼクティブ・アドバイザーを務めているのは、谷佳知氏。オリックスと巨人で通算1928安打をマークした名打者は、打撃の真髄を注入。就任直後には「打席の雰囲気を出させたい。投手が投げにくいな、って思うような打者になってほしい」と語っていた。有望な社会人選手が、もうひとつ壁を打ち破るための助言を送る。

 元プロたちの姿に共通しているのが、完全にチームには所属せず“臨時コーチ”的な立ち位置で指導する点。必要な時に、必要な選手に、必要なアドバイスをピンポイントで施すことで、新たな気づきも生まれることも。元プロ側にとっても、活動が制限されないことで新たな知識や広い視野を持ち続けることができ、双方にメリットが生まれる。

 谷、吉見両氏がお手本となっているように、社会人から名選手が生まれて来たのも事実。さらにプロの視点がどんどん入ることでレベルアップが促され、ひいては球界全体の底上げにも繋がることも期待される。元トップ選手たちに託される役目は大きい。

(Full-Count編集部)

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