「変なタイミングで代打だと…」1軍出場翌日に戦力外 泣き崩れた“絶望”からの再生
スケールの大きい外野手として期待されるも…打撃が課題に
自らが招いた結果なのは分かっている。2012年のドラフト4位で福岡・自由ケ丘高からオリックスに入団。スケールの大きな外野手として期待され、U-21、U-23の侍ジャパンも担ってきた。2017年の交流戦では、12球団の選手で3位の打率.382をマーク。ただ、2018年以降は打撃に苦しみ、2019年途中にトレードでリーグを渡った。
「目の前の結果にこだわりすぎて、タイミングの取り方を毎回変えていた。自分のバッティングを固め切れなかったのが一番ですかね」
あまりにも突然訪れた人生の岐路。現役を退くことも考えた。妻は思いを尊重してくれながらも「チャンスがあるなら、まだユニホーム姿が見ていたい」と言ってくれる。時間の経過とともに、消えかけていた火が勢いを取り戻す。昨年12月の12球団合同トライアウトでは、2安打を放ってアピール。社会人に新天地を得た。
まず去来したのは、ファンへの思い。「全然チームの力になれなかったのに、最後まで応援してくれる皆さんの存在がすごく力になりました」。名古屋の地を去ることに少し後ろ髪を引かれる思いもあるが「ステージが変わっても、楽しく野球をやっている姿を見ていただけたらありがたいです」と言う。
4月で28歳を迎える。三菱重工Eastには、元巨人の山下航汰外野手も加入。昨年12月の都市対抗野球大会にも出場した強豪で「レベルも高いと思うので負けないように」と決意を新たにする。同時に、まだプレーできる喜びも噛み締める。どん底から立ち上がった経験は、これからの人生でもきっと役に立つ。
(小西亮 / Ryo Konishi)