「Everything OK」英語で声かけた新庄監督の“コミュ力” 助っ人痛快発進の舞台裏

来日初打席で二塁打を放った日本ハムのレナート・ヌニエス【写真:羽鳥慶太】
来日初打席で二塁打を放った日本ハムのレナート・ヌニエス【写真:羽鳥慶太】

メジャーリーグでプレーした指揮官ならではの助っ人“操縦術”?

 指揮官ならではの助っ人操縦術と言えるかもしれない。新庄監督は2004年に日本ハム入りする前、3年間を米国球界で過ごした。阪神からFAして2001年にメッツ入り。2002年にはジャイアンツへ移籍し、日本人で初めてワールドシリーズに出場、安打も記録した。日米球界の“違い”を、身をもって知る存在だ。

 ヌニエスに対しては意思を見抜くと、英語で声をかけた。ヌニエスはベネズエラ出身で、母語はスペイン語。ただ米球界で13年間プレーし、英語を駆使して生き抜いてきた。通訳を介してではなく、生身のコミュニケーションをとってきた指揮官にはより“近さ”を感じたのではないだろうか。

 ビッグボスも、キャンプを行っておらず、隔離期間が明けて間もないヌニエスが見せたハッスルプレーには肝を冷やした一面もあったようだ。「まだ走らんでいいよって」と心配してみせるものの「その後もしっかりフォアボールを取っていたね」。ヌニエスは9回、無死二塁というサヨナラ機に今度はしっかり四球を選んでみせた。打ち気にはやらず、冷静に自分の役割を判断しての仕事ぶりには否が応でも期待が集まる。

 日本ハムの上位進出には、助っ人の活躍が欠かせない。このオフは2019年にオリオールズで31本塁打したヌニエス、昨季もカージナルスとツインズで合計39試合に投げたジョン・ガント投手と、これまであまりなかった“ビッグネーム”と契約を結んでいる。8日には複数ポジションを守れるアリスメンディ・アルカンタラ内野手も来日。全員が顔をそろえた時こそ、本当の競争のスタートだ。間違いなく、チーム力はアップする。

「ここまでは思い通り行っているね。でももっと行ったろうと思っている。もっといいことあるだろうと思うし、レベルが上がれば上がるほど、上に行ったろうと思うんだよね」

 これでオープン戦は4勝1敗2分。3月は負けなしだ。ビッグボスが口にした“成り上がり”発言も、現実味を帯びてくる。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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