「町を出ないといけない」震災翌日の母からの電話 楢葉町で暮らす元オリ赤間謙さん、11年前の記憶
昨年1月から楢葉町のスポーツ協会に勤務する
赤間さんは遠慮がちに言葉を選んだ。だが、所属した2球団から残る道を提案される中、「プロ野球で経験してきたことを生かし、楢葉町に貢献したい」と15年ぶりに故郷で暮らすことを決めた心は、再興に尽力した人々と変わりはないだろう。
昨年1月から楢葉町のスポーツ協会で施設管理やイベント対応、合宿誘致などの業務に当たっている。福島県には市町村対抗の野球、ソフトボール、駅伝の大会があり、野球とソフトボールでは選手、駅伝ではスポーツ協会職員としてランナーをサポートした。「町のために頑張る姿には感動しました」。自身が「2011.3.11」のグラブとともにマウンドに立った経験があるからこそ、町を背負って襷をつなぐ選手の姿に心を揺さぶられたのだろう。
「楢葉町はいろんなスポーツに力を入れています。(サッカーのナショナルトレーニングセンター)Jヴィレッジもあって、野球場は甲子園に出るような高校をはじめ、いろんなチームが練習や合宿で使っています。美味しい食べ物も温泉も、キャンプ場もあって、自然豊かで生活しやすい町。1度でいいから、来てほしいですね」
故郷・楢葉町に帰って2年目に突入。賑わいの先にある町の未来に思いを馳せる。
(高橋昌江 / Masae Takahashi)