注目集めた鷹育成左腕の超遅球 “禁止令”を出した投手コーチの思惑とは?
育成4年目になり「クビになってもおかしくなかったのにチャンスを貰った」
岡本は2018年育成ドラフト2位で東農大北海道オホーツクから入団。3軍での登板はあるものの、入団から3年連続でウエスタン・リーグでの登板はない。プロ入り後は多くの時間をリハビリ組で過ごしてきた。「3年目でクビになってもおかしくなかったのにチャンスを貰った。もうリハビリに行っていい立場じゃない。何があってもやらないといけない」。現実は岡本自身も重く受け止めている。
オフは武田翔太投手に弟子入りし、目の色を変えてトレーニングに取り組んできた。さらに、同期入団の重田倫明投手や後輩の中村亮太投手が、育成選手ながらオープン戦に登板し、支配下昇格を目指してアピールしている。崖っぷちに立たされた今、岡本は高村コーチの指摘する“自分のボール”をしっかり投げるべく超スローカーブを封印し、直球を磨く決意を固めた。
この試合で計測した146キロは自己最速タイで「近々148キロくらいまで球速を上げて、ゆくゆくは150キロを投げたいです」という岡本。自主トレを共にした武田も「今年は150キロ投げるよ」とポテンシャルと進化に太鼓判を押す。怪我がちだったこれまでを振り返り、出力が上がってもそれに耐えうる身体作りにも励む。超スローボールが見られなくなるのは残念だが、ここから岡本がどんな変貌を遂げるのか注目したい。
(上杉あずさ / Azusa Uesugi)