鷹・甲斐拓也が教えてくれた東京五輪の舞台裏 捕手という生き物の思慮深さと献身
ソフトバンクの投手が甲斐に感謝するのはその心配りの証
甲斐の捕手としてのこうした考えの根底にあるのは、いかにして投手に不安なくマウンドに上がって、自信を持ってボールを投げてもらうか、にある。投手がパフォーマンスを100%発揮するには、不安なく投げてもらうことが絶対に必要だ。
「伝えていればピッチャーはある程度腹をくくれるんです。でも伝えていなかったら『初球行くの不安だな』『ちょっとボールにしようかなと』となる。そこの違いって絶対にあるんです。それに初球からインコースに行くって伝えれば、ブルペンの投球内容も変わってくるかもしれない」。当然、相手を抑えるため、でもある。ただ、それと同時に、投手の心の不安を取り除くために、捕手は抜かりのない準備をする。
所属するソフトバンクでもその気配り、心配りは変わらない。コロナ禍では難しくなったが、遠征先などでも特に外国人投手の部屋を訪れ、綿密なコミュニケーションを取る。どんなタイプの投手か、どんな球種選択を好むのか、次の相手はどんな打線か、そして捕手としてどんな攻め方を考えているか。事前にコミュニケーションを図ることで、外国人投手も不安なく投げられるようになる。昨季在籍したニック・マルティネス、や今季復帰したコリン・レイが、頻繁に甲斐の名前を挙げるのも、その心配りの証だ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
