“3強”は「紙一重」も巨人が抜け出すには… OB岡崎郁氏のセ・リーグ順位予想
「ゴールから逆算して戦えるのは、セの監督では原さん」
25日に開幕するプロ野球。オープン戦で昨季日本一のヤクルトと並んで最下位に終わった巨人は、公式戦でどんな戦いを見せるのか。巨人で2軍監督、1軍ヘッドコーチ、スカウト部長などを歴任し、現役を含めて昨年まで33年間在籍した岡崎郁氏が、今季のセ・リーグを占った。
岡崎氏が各球団を評価するポイントとしたのは「全143試合をトータルで戦い抜くチームとしての体力」だ。そこには戦力層の厚さの他、指揮官の経験、実績も含まれるという。その上で、古巣の巨人を優勝の最有力に推す。「ゴールを考えて逆算して戦っていけるのは、今のセ・リーグの監督では原(辰徳)さんしかいない」。監督在任15年でリーグ優勝9回、日本一3回と抜群の実績を誇る原監督の存在を、根拠の1つに挙げた。
昨季最下位に沈んだDeNAは2年目の牧秀悟内野手が4番に座り、OBで名伯楽といわれる石井琢朗野手総合コーチ、鈴木尚典打撃コーチが復帰し、つなぐ野球へ転換を図っている。岡崎氏も「投手はそろっている。点の取り方が上手になれば、優勝候補になると思う」と評価する。ただ、1998年以来24年ぶりの優勝を果たすには「スタートダッシュが条件。優勝から長く遠ざかっているだけに、混戦を競り勝ったり、後半に追い上げたりするのは難しい」。タイラー・オースティン外野手、ネフタリ・ソト内野手の両外国人が故障で出遅れそうなのが気がかりだ。
連覇を狙うヤクルトについては「山田(哲人内野手)、村上(宗隆内野手)の中核がしっかりしていることが強み。オリックスの吉田(正尚外野手)、杉本(裕太郎外野手)しかり、巨人V9時代のONしかりで、打線を2枚看板が引っ張るチームは強い」と指摘する。2年連続最下位からリーグV、日本一へ駆け上った燕軍団は他球団のマークをどう跳ね返すかが鍵になりそうだ。以上の「上位3チームは本当に紙一重」と見ている。
「このチームだけは本当に分からない。勢いに乗ったかと思うと、急に失速する」と岡崎氏を悩ませたのが阪神。昨季は前半独走したが、猛打を振るっていた佐藤輝明内野手が不振に陥ったのと歩調を合わせるように失速。勝率5厘差で優勝を逃した。「“佐藤とともに去っていった”感じだったね。1人の選手の好不調で全体の状態が変わってしまうのは強いチームとは言えないと思う。車輪が30個あって、1個抜けても残り29個で走れるくらいでなければ長いシーズンはなかなか勝ち抜けない」と話す。
中日はリーグ随一の投手陣を誇るが、対照的に野手陣がやや手薄だ。岡崎氏は「143試合トータルで考えた場合、チームとしての体力がちょっと足りないと思う」。立浪和義新監督を迎えたシーズンだけに、「監督の就任1年目は、どの選手もアピールしなければならないから、目の色が変わり、チーム力がぐっと上がるケースはよくある。優勝まではキツイかなと思うけれど、中日も面白い」と付け加えた。昨季首位打者で4番を張っていた鈴木誠也外野手がメジャーへ移籍した広島はどうか。「世代交代の過渡期。戦力的にも昨季より落ちている」と苦戦を予想せざるをえないと見ている。