ラオウは中村剛也&山川穂高に続けるか パの本塁打王、翌年の成績を検証

オリックス・杉本裕太郎【写真:荒川祐史】
オリックス・杉本裕太郎【写真:荒川祐史】

西武・中村は2年連続本塁打王に3度輝いている

 2021年のパ・リーグは、オリックス杉本裕太郎外野手が32本塁打で初のタイトルを手にした。では、タイトルを獲得した選手は翌年も活躍しているのだろうか。2011年以降のパ・リーグ本塁打王が、翌年に残した成績を振り返っていきたい。

 2011年から昨年までの11年間で、本塁打王に輝いたのは8人。タイトル獲得の翌年に本塁打数を1桁に落としたのは13年の中村剛也(西武)の4本と、14年のミチェル・アブレイユ(日本ハム)の1本。中村は26試合、アブレイユは6試合と、いずれも故障のため出場試合数が少なかった。21年を除いた計11回のケースのうち8回、5選手が翌年に20本塁打以上を記録している。同じ選手が2年連続となるタイトルに輝いたケースも3度。これは中村と山川穂高(西武)による記録だ。

 歴代3位となる6度の本塁打王(08、09、11、12、14、15年)に輝き、そのすべてが2年連続タイトルの中村は傑出した存在だ。初タイトルの08年は46本で、翌09年には自己最多タイの48本を放った。2度目の2年連続本塁打王達成は、統一球の影響で球界全体の本塁打が減少した2011、12年だった。14年には同僚のエルネスト・メヒアと並んで本塁打王に輝くと、15年には3本上乗せして37本でタイトルを獲得した。

 2001年ドラフト2巡目で西武に入団した中村は07年まで規定打席未到達。通算本塁打は40本だった。初のホームラン王に輝いた08年以降にアーチを量産し、現役選多の通算442本塁打を積み重ねている。自身初の本塁打王獲得をきっかけに才能を開花させ、成績を向上させた。昨年初の本塁打王となった杉本は、この経歴をお手本としたいところだろう。

 11年以降で2年連続本塁打王に輝いたのは中村と山川だけ。山川は18年に47本で初載冠、翌19年も43本でタイトルを手にした。杉本は、規定打席到達もプロ6年目の昨年が初めてだった。初の規定打席到達で本塁打王という経歴は08年の中村、18年の山川と同じだ。この2人は翌年も本塁打王になっているだけに、杉本にとっては心強い“先例”となる。

 大学・社会人を経て2015年ドラフト10位で入団した杉本は4月5日で31歳になる。やや遅咲きではあるが、現在のプロ野球界はスポーツ医学やデータ分析の進歩によって、選手寿命が以前よりも大きく伸びている。中村、山川に続いて杉本も2年連続で結果を残し、リーグを代表する長距離砲の地位を確立できるか。勝負の1年を迎える「ラオウ」の打棒が注目される。

【表】杉本は2年連続で活躍できるか…過去11年のパ本塁打王と翌年の本塁打数

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