「勝った時に野球の怖さを知る」 3回KOの渡邉勇に西武辻監督が伝えた経験

指揮官指摘「反省しなきゃいけないのは3回の2点だよ」

「反省しなきゃいけないのは、3回の2点だよ。試合の展開上、あそこさえ抑えておけば、なんということはない」。辻発彦監督はそう強調する。ラベロにカウント0-1から高めに浮いたスライダーを捉えられたシーンを振り返り、「2死一塁だったから、ヒットならOK。ホームランだけはダメだよね。しっかり頭の中を整理して勝負していかないと」と猛省を求め「教訓です!」と語気を強めた。

 自身が招いた大劣勢を味方が跳ね返し、結果的に敗戦投手を免れた試合を、渡邉はどう受け止めたのだろうか。辻監督は「僕にも経験がある。自分が大きな失敗をして、負けて責任が自分に来るのは仕方ないが、勝った時に野球の怖さを知る。チームでやっているのだと、実感しないといけないよ」と述懐。「それだけの責任を持って、これからも普段から練習をしっかりやること。その上で打たれたり、ミスが出るのはいいんじゃないかと、僕は思う。日頃の姿勢が大事だと思う」と実感を込めて話した。

 そういえば、一昨年に山川が逆転サヨナラ打を放った試合で、森友哉捕手が号泣したことがあった。リードしていた試合だったが、森が途中からマスクを被った後に投手陣が打ち込まれて逆転され、劣勢に追い込まれていた。自分に対するふがいなさ、チームが勝って救われた思いなどが複雑に絡み合い、感極まったのだろう。

 渡邉は191センチ、96キロの体格に無限の可能性を秘めている。チームスポーツの真髄に触れたこの日の経験が、野球人生の糧となることを祈りたい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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