西武が0-6からオリを大逆転できた理由 伝統の“山賊打線”復活呼んだ「新風」
逆転を呼んだ円陣の“声”主には3球団でコーチ歴任の実績
この日の西武ナインは6点リードされた直後に円陣を組み、輪の中心の平石コーチの言葉で一斉に笑顔を浮かべるシーンがあった。森は「全体的に打撃の調子はいいから、焦らず1点ずつ取っていこう、という話だったと思います」と説明。山川が「平石さんのお陰、と書いといてください」とまとめ、森が「“書いといてください”という部分も、書いといてください」と付け加えて、爆笑を誘った。
平石コーチはこれまでに、現役時代を過ごした楽天で打撃コーチと監督、さらにソフトバンクでも打撃コーチを歴任して実績を積み、今季西武に招かれた。特に新たな1番打者に抜擢された鈴木将平外野手を試合前、試合後に関わらず、熱心にマンツーマン指導する姿が目を引く。昨季は西武の2軍監督を務めていた松井ヘッドにとっては、PL学園高(大阪)の5学年後輩に当たる間柄で、2人でベンチに明るいムードを吹き込んでいる。
森は「今日も稼頭央さんや平石さんがベンチを盛り上げてくれて、みんなで逆転できた試合だと思います」と話した。辻発彦監督も「今季はヘッドや平石が来てくれて、笑いながらやっています。野球を楽しめって。チームには、失敗したら引きずらずに次、という気持ちが浸透しつつあるので、これを続けていってほしい」と効果のほどを明かした。
2018、19年にリーグ連覇の原動力となった山賊打線は、ここ2年パワーダウン気味だった。しかしこの日は、その復活を思わせる豪快な勝ちっぷりだ。辻監督は「(かつてより)さらにいいかもしれない」とボルテージを上げた。昨季42年ぶりに最下位に突き落とされた獅子が、ベンチに新たな人材を加え、再び頂点を目指して這い上がろうとしている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)