“腕立て王子”の愛称は「正直イヤでした」 韓国で戦う元早実・安田権守の現在地

初の開幕スタメンを目指し、オープン戦でアピール中だ【写真:球団提供】
初の開幕スタメンを目指し、オープン戦でアピール中だ【写真:球団提供】

原点に戻った野球観 プロ野球で重要視されるのは打撃力

 在日僑胞3世である安田は、KBOリーグでは「アン・グォンス」の登録名でプレーしている。とはいえ、生まれも育ちも日本だ。渡韓した当時は全く韓国語が喋れず、生活環境の変化に加え、チームでのコミュニケーションにも苦労した。

「アマチュア時代は打撃よりも守備を重視」し、打撃については「アベレージタイプだった」と話すが、プロに必要な要素は本塁打や長打だったという。

 かつてはヤクルトスワローズジュニアにも所属。中学生時代は通算0本塁打だったが、「ホームランを打つことへの憧れ」から、元阪急・松永浩美氏の指導の下、アベレージタイプから長打タイプの選手へ転身を遂げたことがある。

「高校時代は、ホームランを打つことにフォーカスを当てた練習をして、守備や走塁は疎かになっていました。でも大学生になるとバッティングが通用しなくなったんです。どうすればベンチ入りできるかを考えた時に、ヒットを打てる、走れる、ホームまで還ってこれることが重要だと感じ、(プレースタイルを)変えました。でも、また今は長打の重要性を感じているんです」

 野球を始めた幼い頃に目指したプレースタイルへ、プロ入りを経て、約15年ぶりに“原点回帰”。「(野球)人生において難しい話」だと前置きした上で、目指すステージで求められている選手像に「いつ気が付けるかって重要だと思うんです」と話し、自身も長年目指し続けてきた“プロ野球選手”に必要な要素に「現役中に気が付けてよかったと思う」と安堵の表情を浮かべる。

 今年は初の開幕スタメンを目指し、12日からのオープン戦で猛アピール中だ。球団創設40周年の節目でもある2022年シーズンに、海を越え日本まで轟く活躍を期待したい。KBOリーグは4月2日開幕予定だ。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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