アカデミーコーチも経験 元楽天の鉄平さんが伝授する「プロ野球選手の育て方」

「なりたい」から「なる」に意識を変えることで目標に近づく

 まずはそこが第一歩。「やるだけで楽しい」から、「うまくいくことが楽しい」「試合に勝てたら楽しい」「ならばこういう練習をしよう」と、つながっていきます。その一歩を踏み出したら、「なりたい」から「なる」に意識を変える。そしてとにかく頭を使って練習をする。短期、中期、長期に分けて目標を立てられると、「プロ野球選手になる」という大きな目標に近付くと思います。

 伸び悩んでいる子どもに対して周りの大人がやってほしいのはできるだけ気にさせないこと。できていないから頑張れではなく、スランプを忘れさせるようなアプローチをしてあげる。「最近野球どう?」といった質問でさえ気にしてしまうかもしれない。突き詰めて頑張っている子ほど、うまくいかなくなった時に崩れる可能性があります。忘れさせてあげて、気づいたら元通りになっているのが望ましい。ただし、明らかに体の動きがおかしい場合や、怪我をしてるなど原因が明白な場合は伝えるべきです。

 アカデミーで落ち込んでいる子どもに「ミスしない選手なんかいないから」「プロ野球選手でもたくさん三振するし、エラーもいっぱいするから落ち込む必要はないよ」「大事なのはミスをしないためにどうすればいいかを考えることだから」「全然落ち込む必要はないよ。僕も死ぬほど三振してきたし、エラーしてきたから大丈夫。思い切ってやろうよ」といった声掛けはします。気負いすぎるのも良くないし、気負わせすぎるのもよくない。子どものメンタルに関わるデリケートな部分ではありますが、適切な対応を取って忘れさせてあげましょう。

 最後になりますが、「プロ野球選手になりたい」と子どもに伝えられた親御さんは、どういう形であれ応援する。目標設定ができたことを喜んでほしいですね。家庭環境にはよりますが、できる限りの環境づくりをしてあげてほしい。子どもが気負わずのびのびと野球ができるような接し方が望ましいです。

◇土谷鉄平(つちや・てっぺい) 1982年12月27日生まれ、大分県大分市出身。津久見高校から2000年ドラフト5位で中日に入団。2006年に楽天へ移籍し、2009年に打率.327で首位打者に輝いた。オリックスへの移籍を経て2015年限りで現役引退。引退後は楽天アカデミーコーチ、2軍外野守備・走塁コーチ、2軍打撃コーチを務めた。現在は球団を離れ、野球解説者として活躍の場を広げている。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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