佐々木朗希を完全試合に導いた“肉体の進化” 動作解析のプロが驚く「天性の素質」

ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】
ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

筑波大・川村卓准教授が指摘する「スパイクのような」高いリリース

 ロッテの佐々木朗希投手が、10日のオリックス戦(ZOZOマリンスタジアム)でNPB史上16人目、28年ぶりとなる完全試合を達成した。1試合19奪三振、13者連続奪三振と記録ずくめの投球を成し遂げた「メカニズム」はどうなっているのか。筑波大学の硬式野球部監督で、体育専門学群の准教授として「動作解析の第一人者」として知られる川村卓氏が分析した。

 佐々木朗が完全試合を達成した同日、東京・大田スタジアムで行われた首都大学野球リーグで指揮を執った川村氏は試合後、歴史的快挙を報道陣から知らされると「本当ですか!」と目を丸くした。

 川村氏は佐々木朗が高3年夏の岩手大会後、U18W杯に向けて筑波大で調整した際などに投球を見る機会があったという。佐々木朗の投球フォームを分析した時、最も他の選手と違うのはボールを離すリリースの形。「バレーのスパイクのようなんです」と説明する。

 通常、佐々木朗のような高い位置から叩くような投球フォームで投げると、ボールが高めに浮いてしまうものだが、佐々木朗にはそれがない。背筋の強さと、リリース時の上手な手首の使い方がいい方向へ作用していると川村氏は解説する。「天性のものだと思います」と口にした。

 リリースの形は高校時代から変わらないものの、プロで磨きがかかった部分もある。特に下半身が潰れなくなったのは大きな進化だ。同じ投球フォームで投げられる「再現性」が高まり、安定した制球を生み出している。

 佐々木朗はプロ3年目。昨季まで、川村氏の大学院での“教え子”にあたる吉井理人投手コーチのもとで、時間をかけて育てられた。他の投手にはないほど手足が長く、投球フォームは徐々に理にかなった形になってきているものの「まだまだ成長する」と断言。「疲れは蓄積していくので」と怪我を心配しつつ“令和の怪物”の快進撃を見守っていく。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY