鈴木誠也の2打席連発導いた思考 試合中の“取捨選択”と試合前の“意思疎通”

ブラウン打撃コーチのアドバイスも後押しした3号ソロ

 決勝点を叩き出した2発目は、直前の情報を打席で反映させた。7回、先頭で対峙した2番手の長身左腕アンソニー・バンダは150キロ台後半の直球が武器。「早いカウントで仕掛けていかないと、チェンジアップがいいので厳しいかなというのがあった」。2球目の直球を芯で捉えると、打球は西日を受けた左翼スタンドに着弾した。

 両方向への豪打は、グレッグ・ブラウン打撃コーチのアドバイスも後押ししている。試合前の打撃練習で、これまでにはなかった身振り手振りを入れた意見交換をおこなう姿があった。

同コーチに聞くと、

「セイヤが何を考え、どんな感触を得ながらバットを振っているのかを知りたかった。もちろん、僕が注意して見ている点の確認もした。来るボールに対して体が迎えにいかないこと。そして、フィールドを広角に使って打つということ。もちろん、左肩の開きは禁物という基本的なことも添えたけど、その程度さ。彼は心配不要だ。日々の観察の蓄積が大切なのは言うまでもないこと」

 米データサイト「STATS Perform」の公式アカウント「Stats By STATS」によれば、打点が公式記録となった1920年以降で、デビューから4試合で8打点以上&4四球以上をマークした初のメジャー選手となった鈴木。だが、本人いわく「まだ4試合。あと150試合以上あるので。今はいろんなピッチャーに立って、しっかりその日その日、1打席1打席を大切にやりたいと思います」と先を見つめる。

 事前情報の取捨選択と打席での対応力、そしてコーチとの意思疎通――。鈴木誠也は確かなリズムをつかみ出している。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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