「ベテランの力に期待」DeNA三浦監督が2軍で打率.063の39歳を昇格させたワケ
今季3打席目、代打で左前へ初安打
■ヤクルト 3ー2 DeNA(15日・横浜)
プロ18年目の再スタートを切った。今季DeNAへ10年ぶりに復帰した藤田一也内野手が15日、本拠地・横浜スタジアムで行われたヤクルト戦で復帰後初安打。チーム最年長の39歳は8回、代打で先頭打者として登場すると、ヤクルト3番手の清水に対し、カウント1-2と追い込まれながら、外角フォークを逆方向の左前へ運んだ。
打った瞬間、藤田は思わず歓喜の雄叫びを上げ、ベンチも総立ちで称えた。代走・蝦名を送られベンチへ戻ってくると、グータッチを交わした。DeNAにとっては2-3で競り負け3連敗となった試合の中で、最も盛り上がったシーンだった。三浦大輔監督も「決して絶好調というわけではないが、コースに逆らわず期待に応えてくれた。これからもベテランの力に期待していきたいと思います」と話した。
春季キャンプ序盤に左ふくらはぎの張りを訴え、出遅れた。今月12日に1軍昇格を果たしたものの、チームに新型コロナウイルスの陽性者が相次いだことを受け、あくまで「特例2022」の代替指名選手としてだった。2軍では9試合に出場し、打率.063(16打数1安打)。三浦監督が言う通り、調子が上がっていたわけではなかった。
それでも、4番・牧、オースティン、桑原ら主力がごっそり抜けているDeNAにとって、いまこれほど必要とされている選手はいない。
2012年のシーズン途中にトレードで楽天へ移籍後、二塁手としてベストナインとゴールデングラブ賞に2度ずつ輝き、出場試合数が少なかった年も契約更改の席では「若手に積極的にアドバイスを送ってくれた点」を高く評価されていた。昨季限りで楽天を戦力外となると、「ウチの球団には、彼の人柄を含めて藤田一也ファンがたくさんいる。移籍後も常に注目していた」(三原球団代表)と古巣が即、獲得に手を上げた。現役時代にともにプレーした三浦監督も、藤田の復帰を熱望した1人。選手の信望が厚く、精神的支柱になりうる。
今季3打席目で生まれた今季初ヒット。復帰時に「この先のことも考えて、いろんなことを学んでいきたい」と語ったベテランが、チームの危機に存在感を発揮しそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)