大谷翔平の仕草に滲む“米国への慣れ” 現地記者が実感…誰からも敬意抱かれる理由

誰も真似できないことをやってのけることに強い敬意を抱く米国民

 彼のプレーを見ていると逆境に強いことに気付かされます。思い出すのはメジャー1年目、2018年の秋。右肘のトミー・ジョン手術を受けることを勧めていると球団が明かした日の試合で、2本のホームランを打ちました。去年の6月にはヤンキース戦で1回持たずに降板しましたが、次の登板から安定した投球を続けています。

 今シーズンも開幕戦でやられたアストロズを相手に先日(日本時間21日)、6回12奪三振の快投。打撃でも開幕から本塁打が出ず、米メディアなどが少し騒ぎ出したところで2発打ちました。こうした能力はイチローさんに通じるものがあると感じます。あのイチローさんでもなかなかヒットが出ない時がありましたが、次の4連戦で10安打くらい固め打ちをする。我々の予想を覆すように活躍するところは、共通している部分なのかなと思います。

 他球団の監督や選手、メジャー関係者らに大谷選手について聞くことも多いのですが、誰もが喜んで話をしてくれます。打って投げて走って、誰も真似できないことをやっている大谷選手が与えるインパクトは本当に大きい。敵味方の垣根を超えた存在になっています。

 72歳のアストロズのダスティー・ベイカー監督も凄く敬意を持って嬉しそうに話をしてくれました。約50年のキャリアを誇る著名なスポーツキャスターが「大谷選手は人の話と質問をよく聞いて、目を見て答えてくれるのがとても良いね」と語ってくれたのも印象的です。

 そんな時に、もはやチームの枠を超えてメジャーリーグを代表する選手になったのだなと実感します。米誌「タイム」の表紙になったのもその表れだと思います。日本だけではなく米国でも大谷選手を「嫌い」と言う人いないのではないでしょうか。今後、タイガー・ウッズに匹敵するような存在になるのではないかと思っています。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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