“神のお告げ”で退団した元阪神助っ人の今 実業界で成功、次の舞台は「プロ釣り師」

レッドソックス時代のマイク・グリーンウェル【写真:Getty Images】
レッドソックス時代のマイク・グリーンウェル【写真:Getty Images】

引退後はカーレーサー、実業家、プロ釣り師と様々な顔

 ちょうど四半世紀前となる1997年のゴールデンウィーク、阪神に嵐を巻き起こし、去っていった助っ人を覚えているだろうか。「野球を辞めろという神のお告げがあった」という言葉を残し、7試合に出場しただけで1本も本塁打を打つことなく退団したマイク・グリーンウェル外野手は帰国後、野球界を離れ実業家となっている。4月にポッドキャストの番組に出演したグリーンウェル氏は、引退後の生活と、自身の現役時代と重なるメジャーリーグの“薬物禍”について語っている。

 グリーンウェル氏は阪神を最後に現役引退後、カーレースの「NASCAR」と関わりを持った。さらに「Big League Builders」というゼネコン会社を立ち上げ、遊園地を経営していたこともある。ゼネコンはフロリダ州に本拠を置き、現在は2人の息子が経営にかかわる。さらに2023年には、プロの釣り師として「メジャー・リーグ・フィッシング」に出場するという。

 阪神では活躍できなかったものの、来日時は大物現役大リーガーとして騒がれた。レッドソックス一筋に通算1400安打、打率.303、130本塁打、726打点という素晴らしい成績を残している。

 一方、グリーンウェルがメジャーで活躍した1990年代は、公然と競技力向上のために薬物が用いられた「ステロイド時代」でもあった。今年1月の野球殿堂入り投票で、通算762本塁打のバリー・ボンズ氏、354勝のロジャー・クレメンス氏が資格最終年での殿堂入りを逃したことも物議を呼んだ。

 当時の世相を知るグリーンウェル氏は「(薬物の)ステロイドを使っていた選手たちをあぶりだしたのは、間違っていなかったと思う。認めたか、つかまったかのケースが多かった。彼らは賞を返上するべきだったよね。サイ・ヤング賞や首位打者を取っていたとしたら、はく奪するべきだった。MVPやトロフィーをもらっていたとしたら、(ステロイドをやっていない)私にくれるべきだった」と口にした。

 実際にグリーンウェルは、打率.325、22本塁打、119打点を残した1988年にア・リーグMVP投票で2位となっている。1位は、後に筋肉増強剤の使用を告白したホセ・カンセコ(当時アスレチックス)だった。

「私のような選手も殿堂入りのチャンスをもらっていい」

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