佐々木朗希にとって「完全試合はスタート」 井口監督の目に映る果てしない可能性

ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】
ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

佐々木朗希&松川虎生に集まる注目の陰で指揮官が称える若手野手

 開幕からここまでを振り返った時、やはり避けて通れないのが、4月10日オリックス戦での佐々木朗希による完全試合でしょう。あの日は本当にすごいピッチングでした。早いカウントでファウルを打たせ、持ち味の決め球で仕留める。あれが朗希ならではのスタイルだと言えるでしょう。

 僕はホワイトソックス時代にマーク・バーリーのノーヒットノーラン達成試合で二塁を守った経験がありますが、完全試合を見たのはこれが初めて。大体こういう試合は好守に救われる場面が出るもの。でも、今回は打球がほぼ前に飛ばず、まさに“完全”でしたね。

 その次の試合は7回くらいから少し様子がおかしく、本人もフォークが抜けてきていると話していたので、迷わず降板を選択しました。ファンは2試合連続パーフェクトを見たかったでしょうが、我々も見たかった。ただ、まだローテーション1年目の選手です。大切な才能を預かる“親”として無理はさせられません。朗希なら、あと2、3回は完全試合をやってくれると思います。

 朗希にとって完全試合を投げることが最終目標ではないでしょう。今回の完全試合はスタートのようなもの。いいピッチングをすればああいう投球ができると、みんなに分かってもらえたし、彼の中でも自分の本当の投球スタイルが分かった出来事になったのではないでしょうか。

 バッテリーを組んだ松川(虎生)も落ち着いていました。朗希に限らず、石川(歩)、美馬(学)のリードもしっかりできている。新人離れしたドッシリ感がありますね。

 朗希と松川に世間の注目が集まる中、序盤にいい働きをしてくれたのが高部瑛斗です。高部の課題は1軍にどうアジャストできるか。ファームで積み上げたスタイルそのままが1軍で通用するかと言えば、そうでもない。1軍での自分の役割や野球そのものを日々勉強しながら、繋ぐ打撃をしたり、盗塁したり、いろいろな経験を積んでいる。いいことも悪いことも経験しながら、シーズンが終わる頃には成長した姿を見せてくれると期待しています。

 24日からは早くも交流戦がスタート。それまでには故障者が1人、2人と戦列に戻ることでしょう。1日も早くマリーンズらしさを取り戻し、上昇気流に乗って交流戦を迎えたいと思います。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY