レギュラー獲れずも…10年生き残る“術” 日本ハムのいぶし銀・谷内亮太が重宝されるワケ
山田哲人が「世界一優しい」と評する人柄で後輩から慕われる
石川県金沢市出身。5人きょうだいの1番上で、年の離れたきょうだいの世話もしていたしっかり者だ。頭脳明晰で國學院大の人間開発学部健康体育学科では高校の保健体育の教員免許を取得。教育実習での“教え子”にはソフトバンクの泉圭輔がいる。中学、高校、大学と主将を務め、キャプテンシーも持つ。
“戦国東都”で1年時からレギュラーとして活躍するとスカウトからの注目も集め、2012年ドラフト6位でヤクルトに入団した。憧れの存在である宮本慎也氏の教えも受けてさらに守備力に磨きをかけ、決して多くはない出番の中で自分の仕事を着実に遂行。2018年オフにトレードで日本ハムに移籍した。
堅実な守備だけでない。人間性を高く評価する声を何度聞いたか分からない。ヤクルト時代に山田哲人が最も懐いていたのが谷内であり、「谷内さんは世界一優しい」と心を許していたのは有名な話。寮と神宮球場を往復する車中では、谷内が“聞き役”で、当時まだ波のあった山田から「僕のメンタルトレーナーです」と感謝されていた。首脳陣や先輩からは信頼され、後輩からは慕われる“人柄”をあわせ持つ。
失礼ながら、決して派手さはない。それでも謙虚に努力を重ね、欠かせない存在となった。10年間のプロ生活を過ごせる選手は決して多くはない。「レギュラー」と呼べる年は1年もなくても、努力はしっかりと実を結んでいる。かつて「僕はスターにはなれないので」と言っていた。華やかなプロ野球の世界で、谷内のような“輝き”もまた魅力的だ。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)