野球人口減少を食い止めたい 西武と埼玉県の18団体が“未経験”の子ども向けイベント
ベルーナドームで1日に開催され、幼児から小6まで1089人が参加した
野球人口減少を食い止めるために、カテゴリーを超えて結束する。プロ野球の西武が、埼玉県高校野球連盟や中学生の硬式野球などの18団体とつくる「埼玉県野球協議会」が1日、イベントを初開催した。バットやグラブを手にしたことのない幼児や小学生に野球のおもしろさを伝え、競技人口拡大を目指している。
子どもたちの笑顔や活気に満ちたイベント開催の背景には、強い危機感がある。幼児から小学6年生までの野球初心者を対象とした体験イベント「埼玉baseballフェスタinベルーナドーム」が西武の本拠地ベルーナドームで行われ、子どもと保護者合わせて1089人が参加した。
イベントを主催したのは、3月に設立された「埼玉県野球協議会」。西武をはじめ、県内の大学や県高野連、中学野球や女子野球など、カテゴリーを超えた19の団体が加盟している。協議会発足後初となるイベントでは、グラブやプラスチック製のバット、柔らかいボールなどを用意。ホームラン競争、スピードガンによる計測、ストラックアウトといった体験を通じて、野球の楽しさを伝えた。西武の球団経営企画部マネージャー・松本有氏は「こんなに来てくれて、しかも楽しそうにやってくれているので嬉しいです。『野球って楽しい』と思って帰っていただければと思います」とうなずいた。
子どもたちの指導役は、西武が小・中学生向けに開講している「ライオンズアカデミー」のコーチの他、埼玉県内に練習拠点を置く立教大野球部員、県内の高校球児、中学生らが務めた。これだけ幅広いカテゴリーから選手が集まるイベントは異例といえる。共通しているのは、野球人口減少への危機感だ。松本氏は「少子化だから仕方がないという声もありますが、そうではありません。この10年間で全国の子どもの数自体の減少は10%ほどなのに対し、軟式の少年野球チームの数は30~40%減、中学校の野球部員に至っては半減しています。いろいろな理由があると思いますが、みんなで意思統一をして食い止めていきたいです」と力を込める。
野球人口減少の一因に指摘されているのは、プレーできる場所がないこと。空き地や広場は減り、キャッチボールが禁止されている公園も多い。埼玉県野球協議会は、子どもたちが野球に触れる機会を今後も増やしていく予定。野球の裾野拡大へ、各団体の力を結集して活路を見出す。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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