野村監督は感謝、仰木監督は激怒… 松井稼頭央を“飛躍させた”日米野球への推薦

田中幸雄が右肘を負傷し、西武の松井稼頭央を緊急招集

 全8試合で行われる予定だった日米野球。各球団の主力が集結したが、内野の要となる遊撃のポジションでアクシデントが起きる。横浜(現DeNA)の石井琢朗、日本ハムの田中幸雄の2人が選ばれていたが、田中が右肘を負傷。追加招集が必要となり、新井氏は野村監督から「パ・リーグで誰か、いいショートはいないか?」と尋ねられた。

 新井氏は「素晴らしい肩と俊足の持ち主。打てるかは分からないが、日本人離れした身体能力を生かしたプレーは通用する」と考え、PL学園の後輩で、この年、西武で初めてレギュラーとして130試合に出場、打率.283、1本塁打、50盗塁をマークしていた松井稼頭央を推薦。松井稼は秋季キャンプに移動する直前だったが、関係者を通じ「今すぐ来てくれと」と連絡し、選出することが決まった。

 野村監督は第5戦から松井稼を「2番・遊撃」で起用。この試合でいきなり松井稼は3安打2盗塁をマークし、続く第6戦では1番に抜擢。第8戦までスタメンで出場し、計18打数10安打、打率.556の活躍を見せた。これにはメジャー関係者からも「この選手は誰だ?」と驚きの声が上がるほど。松井秀の「ビッグ・マツイ」に対し、松井稼は「リトル・マツイ」として、のちに注目を集めるキッカケとなった。

西武関係者から「選んでくれてありがとう」、野村監督も「いきのいい選手をよく見つけた」

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