30歳で社会人デビュー、研修は「地獄でした」 元DeNA左腕の“営業転身記”

上司5人を相手に仮想営業トレーニング「地獄でした(笑)」

 2020年1月。真新しいスーツに身を包み、営業部の新人としてスタートを切った。折しも新型コロナウイルスの世界的流行で4月にはステイホームを余儀なくされたが、「1月から3月までが非常に濃い3か月間でした」と振り返る。

 30歳の社会人1年生だ。体育会で育ってきただけに、一般的な挨拶や礼儀は身についていても、ビジネスの場面となると心許ない。ビジネスメールを書いたことがなければ、PowerPointを使ったこともない。そんな中後さんをサポートしてくれたのが、北川さんと加藤さんをはじめとする営業部のメンバー、そして当時の営業部部長であり、現在はビジネス統轄本部副本部長を務める鐵智文さんだった。

「(当時)部長の鐵さんにつきっきりで営業のイロハを教えていただきました。本来なら部長自ら教えるなんてあり得ないことなんですけど、僕が全く経験がなかったので一緒に得意先を周りながら、名刺交換の仕方、お客様に対する挨拶などを見て学ばせてもらいました」

 一通りの“見取り稽古”が終わると、次は社内でロールプレイングに挑んだ。鐵さんと営業部にいる4人のグループリーダーを仮想の5企業に見立て、アポイント取りの電話掛けからスポンサーとしての契約書を交わすまでの実践体験。一筋縄ではいかない“5社”を相手に奮闘した経験は「いやぁ、地獄でした(笑)」。それでも「辛かったですけど、あの経験があったから今、ある程度の仕事を任せてもらえているんだと思います」と大きく頷く。

 ロールプレイングの後に配属された営業第2グループでは、グループリーダーに目を掛けてもらった。鐵さんとグループリーダーでこまめにミーティングを重ね、ほんの些細な疑問から実際に会社員として働き始めてからの悩みまで、率直な意見交換をし、アドバイスをもらったという。「ビジネススキルのない30歳に、本当にいろいろなことを教えてくださいました。本当に人に恵まれたと思います」と、今でも感謝の気持ちは尽きない。

「事業側を“裏方”と呼ぶのが、あまりしっくり来ないんですよね」

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