30歳で社会人デビュー、研修は「地獄でした」 元DeNA左腕の“営業転身記”

2018年途中からDeNAに入団し、2020年からはユニホームをスーツに替え、球団職員として働く中後さん【写真提供:横浜DeNAベイスターズ】
2018年途中からDeNAに入団し、2020年からはユニホームをスーツに替え、球団職員として働く中後さん【写真提供:横浜DeNAベイスターズ】

日米通算8年のプロ生活、2020年からDeNA職員となった中後悠平さん

 球団職員に転身して3年目。かつて“変則左腕”として日米球界のマウンドに上がった中後悠平さんは今、横浜DeNAベイスターズ営業部のビジネスパーソンとして、野球の魅力をクライアントに伝える日々を過ごす。「現役を終えても野球に携われているって、なかなかないと思うんですよね」と言うと、嬉しそうに目尻を下げた。

 現在は、横浜スタジアムに掲出する看板、出版物や映像の広告枠などを販売しながらスポンサーを獲得する仕事に奔走。「基本的には一般企業の営業職と同じですが、お客様に価値を感じてもらう商品は横浜DeNAベイスターズ。野球に携わりながら、しっかりとビジネスを学べるという点で、僕にとっては間違いなくプラスになっています」と声を弾ませる。

 ロッテで4年、米マイナー球団で2年半、DeNAで1年半。通算8年のプロ生活は、なかなかドラマチックな展開だった。

 2012年に近大からドラフト2位でプロの門を叩き、4年で戦力外。BCリーグ「武蔵ヒートベアーズ」入りが決まっていたが、縁あって海を越えた米国でメジャーを目指した。初級のルーキーリーグからメジャー予備軍の3Aまで5か月で駆け上がるも、メジャーの高く分厚い壁は越えられず、2018年途中に帰国。DeNAで日本球界復帰を果たすと、2019年を最後にユニホームを脱いだ。

 引退後は「野球に関わりのない仕事に挑戦するのも勇気ある一歩」と思ったが、「それでも僕にとって野球は離れられないものでした」。そんな時、輝いて見えたのが、元プロ選手で現在は球団営業部で働く北川利之さん(元横浜)と加藤政義さん(元日本ハム)の姿だった。選手としてプレーしなくても、その魅力を伝えられる仕事がある。

「お二方の存在が営業に入る決め手の1つになりました」

上司5人を相手に仮想営業トレーニング「地獄でした(笑)」

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