キレ&ノビが増した魅惑の158キロ オリ5年目右腕が3試合連続“プロ初”を記録した訳
ドラフト4位も1年目オフに育成契約、19年に支配下復帰も昨季まで1軍は3試合
苦労人がブレークの兆しを見せている。2017年のドラフトでは4位指名を受けオリックスに入団。だが、ルーキーイヤーの2018年9月に右肘を骨折しオフには一度、自由契約となり育成で再契約。リハビリを重ね2019年7月に支配下に復帰しエース・山本由伸に似た投球フォームに変更するなど試行錯誤を続け、昨年までの1軍登板はわずか3試合に留まっていた。
だが、今季はシーズン直前にリリーフに転向。元々150キロを越える直球が武器だったが、ストレートのキレ、ノビは格段に上がった。自信を持って投げ続ける“剛球”に「リリーフをやったことで腕を振り切ることが今まで以上にできている。それが今の結果に繋がっている」と、短いイニングを全力で投げるスタイルがハマったことを明かした。
試合終了後には9回を締めた平野佳から記念のボールを手渡された。初セーブ、初勝利を挙げた記念のボールは「今まで支えてくれたお母さんのところに送ろうと思います」と、女手一つで育ててくれた母・もえみさんにプレゼントするつもりだ。
このままの調子を維持すれば“勝利の方程式”入りも十分に見えてくる。それでも「任された場面で勝利に繋げられるピッチングができればいい」と慢心はない。プロ入り直後から試練を乗り越えた右腕がチームの救世主になる日も近い。